政治から降りずパスした有権者ゲーム感覚に問題 [BM時評]追補 (2012/12/17)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 総選挙の結果は自公で3分の2、320議席を超えました。しばらく衆院再議決可能な多数体制が続きますが、本当に信任されていないのは明白です。3年前に自民を政権から追放した有権者は今回はパスしただけです。投票率が前回の69%から59%程度に下がりました。次の国政選挙で投票に足る受け皿が用意されていたら、一度下野したのに本質的な党改革・体質改善を怠っている自民が手痛い目に遭うのは確実でしょう。問題なのは、その間にも時間は経過していき、国政上の決定は取り返しが付きません。2005小泉郵政解散で小選挙区制の振れの大きさを知りゲーム感覚になっている有権者は、一度は自分が支持した政党を見届ける責任もある点をお忘れのようです。いや、支持者と党を結ぶ絆があまりに希薄でした。

 2005年の総選挙から始まった有権者の「信賞必罰」投票については、第332回「有権者の信賞必罰投票とマスメディアの漂流」にまとめました。小泉改革への過度の期待から始まって、失望するたびに自民に叱責を加え、民主党への政権交代をもたらしました。それが失政続きで民主への叱責に変わり、自民への支持に戻ることなく民主支持放棄の形で再び政権交代です。《石破氏 “自公で過半数なら連立へ”》(NHK)で《石破氏は、今回の衆議院選挙について、「民主党に逆風は吹いているが、『自民党頑張れ』というのとは違う感じを持っている。仮に自民党が多数の議席を獲得しても、錯覚を起こしてはいけないというのが実感だ」と述べました》としている通りです。

 有権者の相当数が決して政治から降りていないのにパスした結果、今回総選挙の本来のテーマであった福島原発事故と消費税増税に、明確な判断が出なかったと見られます。来年夏の参院選で蒸し返さざるを得ないでしょう。その先にある次の総選挙も見据えながら野党側がどのような受け皿を用意できるか、与党に戻る自公に劣らず、野党側の政治日程はかなり忙しいはずです。

 【追補】なぜか「自民に票が集まった」との錯覚に陥っている方が多いようです。とんでもないことです。比例区票も小選挙区票も前回比で大きく目減りしました。毎日新聞の「衆院選:自民、比例57 前回並み」は「全国の比例得票数を集計したところ、自民党は1662万票で、05年の2588万票を大きく下回り、09年の1881万票にも及ばなかった。得票率も27.6%で09年の26.7%とほぼ変わらなかった」と伝え、支持の広がりはなかったとしています。小選挙区得票は2564万票で前回から165万票も落としています。戦後最低59.32%の投票率がもたらした票の絶対的減少の中、組織票がある自公が勝ったに過ぎません。

 【参照】インターネットで読み解く!「有権者」関連エントリー

    このエントリーを含むはてなブックマーク   ※関係の分野別入り口・・・《教育・社会》 《政治・経済》


【リンクはご自由ですが、記事内容の無断での転載はご遠慮下さい】
※ご意見、ご感想や要望はメールフォームで。

【INDEXへ】
無料メールマガジン登録受付中