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投資呼び込みは絵空事、内部留保99兆円の活性化を [BM時評] (2013/06/09)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 アベノミクス3本目の矢「成長戦略」が軽薄すぎて大きな失望感が広がっています。最も望まれた方向、大手企業100社で99兆円もと報道された内部留保を生かしてイノベーションを起こさせる道筋がありません。海外からの投資を呼び込むために教育や医療の環境を整えるとか、絵空事もいいところです。人口減少と高齢化社会の日本に海外大手が乗り込んでくるはずがありません。自前で持っている巨額内部留保を研究費として生かし、疲弊している大学との共同研究を奨励するなど、知恵を出すべきです。法人税率引き下げなど、無意味な企業優遇策では、これは達成出来ません。

 4月に共同通信の《大手企業の利益温存加速 100社調査、内部留保99兆円》は《大手企業100社が、利益のうち人件費などに回さずに社内にため込んだ「内部留保」の総額は2012年3月末(一部2月末なども含む)時点で総額約99兆円に上ることが7日、共同通信の調査で分かった。リーマン・ショック直後の09年3月末からの3年間で10%増。労働者の賃金は下落傾向が続く中、企業が経営環境の変化に備え、利益を温存する姿勢を強めている実態が浮き彫りになった》と伝えました。

 お金があるからイノベーションを起こせるとは限りません。しかし、国内大手が押しなべて投下できる余裕資金を持っているのです。革新的な技術や製品が生まれるのは確率的な世界ですが、国内の企業がみんなで挑めばどこかで「当たり」が出るはずです。いや、いくつも出てもらわねば困るのです。

 長い縮こまったデフレ状態はジリ貧ながら、得もしなければ損もしない状態でした。この状態を壊してリスクに満ちた海原に押し出したのは安倍政権です。成長戦略を成功させて税収大幅増で財政再建を可能にする道筋がかなわなければ、金利の上昇だけが残りかねません。それでは国と地方でGDPの2倍、1000兆円に近い大借金を返すどころではなくなります。失敗したら後の人に託すは許されません。

 成長戦略は要の中の要です。安倍首相はちまちました選挙遊説に走る時間があったら、本筋の中の本筋を練り直すことに全力を注ぐべきです。官僚からの安直な献策は遠ざけるべきです。「骨太の方針」に取り入れられた「世界トップ100に10大学」提言なども事情を知らないで聞けば上策に見えるかもしれませんが、第363回「大学に止めを刺す恐れ大、教育再生会議提言」で論じた通り、自殺行為になりかねません。

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