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第380回「五輪国際公約した以上、汚染水の安全な移転を」 (2013/09/08)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 IOC総会での安倍首相説明には嘘がある――福島原発事故をウオッチしてきた眼には明らかです。しかし、国際公約してしまった以上、安全なタンクを造って汚染水を早急に移転してしまう緊急措置が欠かせません。政府は原子炉建屋周辺を囲む遮水壁建設と汚染水浄化を打ち出しましたが、タンクについては眼をつぶっています。お手軽に作られた地盤の上にある1000基ものタンクは大きな地震には耐えられないと見られます。倒壊や配管破断があれば千トン単位で直接、海に流出するでしょう。タンク群がある原子炉後背地の汚染拡大は収拾計画全体を崩壊させる恐れがある点も合わせ、正規基準に則った安全なタンク新設と汚染水移転を急ぐべきです。これから何年もの間、問題を起こす大きな地震が来ないと考えるのは楽天的に過ぎます。

 安倍首相の「(福島第1原発の)状況はコントロールされている」説明と合わせて、菅義偉官房長官が記者会見でした現状認識にも問題があります。《【トンデモ発言】菅義偉官房長官「福島県においても年間被曝量は1ミリシーベルトの100分の1以下」「汚染水の影響は福島第一原発の湾内だけ」》が文字起こしをしています。放射線管理区域以上の汚染地域があちこちにある福島の現状を知らないかのようです。

 IOC総会プレゼンは時の方便と割り切ったのではなくて、安倍政権の首脳部は本当にこのように思い込んでいる恐れがあります。支えている官僚たちがどのような説明を上げているか、透けて見えます。現状がをシビアに伝えられていれば記録に残る形でこんな愚かな説明はしないでしょう。『福島原発事故収拾が破綻している現状に気付け』で指摘した通り、今回の汚染水騒ぎ以前から、事故の収拾体制は機能していません。

 サイエンスの世界で一目置かれている英「ネイチャー」誌が5日付で論説を掲載、それが『9月5日付けのネイチャー誌の社説「Nuclear error」を日本語にしました。』で和訳されています。タンク周辺の高レベル汚染について《単なる「異常事態」として始まったはずの漏洩が、結果的には本物の危機となってしまったわけです。日本は、ここで海外の専門家に助けを求めるべきです》と厳しい認識を示しています。

 海外に援助を求めるべき理由として、日本政府の情報公開姿勢を疑っているほか、第三者による測定などが無い現状を憂い、《国際的な協力の下で進めていくことで、一般市民の、事態の調査と危機回避に対する不信感を和らげていくことが出来るでしょう》と説いています。日本における原子力推進・批判両派の専門家による対立と、結局は場当たり主義の東電任せになっている現状についても理解されているようです。ただ、日本政府の体質として、このような開かれた対応は難しく、正規タンク新設で汚染水漏洩問題をリセットする方が現実的だと考えます。壊れた4つの原子炉の方に困難が山積しています。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー

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