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第407回「核燃料再処理工場の不合格確定、核燃サイクル崩壊」 (2014/02/13)

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(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 福島原発事故をうけた新規制基準の適合性審査が始まった青森・六ケ所再処理工場は、早くも不合格が確定したとお伝えすべき惨状になっています。高速増殖炉もんじゅも動く可能性はなく、核燃料サイクルは崩壊です。原子力規制委での審査会合は2月3日の第3回から実質審査に入りました。再処理工場は使用済み核燃料からウランとプルトニウムを分離、その過程で被覆管に封じ込められた大量の放射性希ガスや高レベル廃棄物を解放してしまうので非常な危険が伴います。これまで考えなかった重大事故を想定せよとの新規制基準は、第369回「再処理工場、新規制基準は設計やり直さす大鉄槌」で指摘したように重たすぎる課題です。

 審査開始とは言え被覆管のせん断からの本工程は先の話、使用済み核燃料をプールに受け入れる段階が対象になっただけです。まだ早いが、念のためにとユーチューブ動画中継「第3回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合」を視聴して、事業者である日本原燃の技術レベル、理解レベルの貧しさに唖然とさせられました。この頭の固さなら、最初の再処理工場完成予定から17年も遅れているのも無理からぬと改めて思いました。

 核燃料プール受け入れ段階で日本原燃側は重大事故の想定をしなかったと言えます。遠い昔の工場設計段階で並べていた事故事象から、プール冷却水配管に穴が開いてちょろちょろと水が漏れ出すケースなどをリストアップしただけです。こんなのんびりした事故なら現有設備で十分に対応できますから、貯水槽・貯水池から臨時のホースラインを敷設してポンプで水を送るので「問題ありません」と答えて平然としています。

 日本原燃の説明が大半終わった頃、原子力規制委から堪りかねたように疑問が出ました。「プールから水の大量漏えいで燃料が危うくなった場合を想定するのではないのか」「ポンプでの送水は高温になった燃料を冷やせる能力があるか検証すべきではないか」「放射線量が上がった環境が考えられていない。水蒸気が充満して監視カメラは使えないはず。現有タイプの水位計も使えないのではないか」「被覆管が溶け出すジルコニウム火災、それによる放射性希ガスの放出は考えないのか」

 日本原燃側は「深層防護としてどこまで考えるべきか検討したい」と、しどろもどろになります。原子力規制委の更田委員が「この段階にこだわらず、ひと通りやり取りしてから重大事故の網羅性に戻ってもいい。後の段階にもっと大きな問題があるかも知れない」と引き取りました。

 福島原発事故では何が起きているのか全く見えなかった――新規制基準はその深刻な反省に立って、従来の想定で扱わなかった重大事故に踏み込んでいます。大規模自然災害や航空機テロまでも含めて、思いがけぬ事態に至って設備と人がどこまで対応できるかストレステストの意味合いも含みます。その理解の上で、燃料受け入れプール段階のやり取りだけで、再処理工場側の新規制準備は適合性審査を受ける段階に至っていないと申し上げます。今年10月の工場完工予定など、夢のまた夢です。

 【参照】インターネットで読み解く!第353回「高速炉もんじゅ稼働を絶望にする安全設備要求」

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