第421回「理研調査も科学にあるまじき杜撰:小保方釈明を聞く」

 STAP細胞論文の真偽騒ぎで小保方さんの釈明を実況中継で聞くと、捏造とした理研調査も科学の世界にあるまじき杜撰なものだったと判明しました。ネイチャーに掲載した後始末をオール日本として取り組むべきです。STAP細胞の存在確認がどうしても必要です。

 最初の報道から科学的冷静さを欠く展開でうんざりさせられたSTAP細胞ですが、理研の調査まで的確に実施されてないと言うべきです。最大の問題は小保方さんからの聞き取りすら十分でない点です。調査委員会の正式な聞き取りは1回しか無かったと言えます。論文で取り違えた画像の由来について本人の釈明を聞いていないと言わざるを得ません。実験ノートの提出も、その場にあったノート2冊を出しただけで「さらに4、5冊はある」と釈明しています。真偽の判定をする上で必要なデータ確認が尽くされていません。

 科学の常識を覆すほど画期的とされたSTAP細胞の存在・不存在を確認することが、日本として世界へ責任を取る道でしょう。小保方釈明でも「今回論文は現象論として書いたもので、次の論文でSTAP細胞を作る最適条件を示すつもりだった」としています。再現実験が成功していない現状を打開するためにも、小保方さん自身を加えたチームで実験を先行し、最適条件を学問的に明確にする必要があります。その上で第三者による再現実験を広げるべきです。

 どうして誤りについてきちんとした処理が出来ないのか――欧米の研究者にとって当たり前のピアレビュー、専門家同士による研究評価が日本の研究者では乏しい点が背景にあるように思えてなりません。第145回「大学改革は最悪のスタートに」〜急務はピアレビューを可能にする研究者の守備範囲拡大〜を参照いただけたらと思います。