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第445回「成長戦略なき安倍政権は再増税で国を潰す恐れ大」 (2014/09/11)

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(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 有力な安倍応援団、日経新聞まで「実質マイナス成長で再増税できるのか」と書き出しました。打ち出されるはずの「第三の矢」の核心が希薄なまま、無理矢理の財政出動に走って辻褄合わせする未来が見え始めました。多くのエコノミストは財政再建の見通しをつけるために再増税の目は消したくないと自縄自縛に陥っています。その中でBNPパリバ証券の河野龍太郎氏は《コラム:アベノミクスに転換迫る「不都合な真実」》で「政府は2%の潜在成長率の目標を掲げているが、無謀と言わざるを得ない。今後の純資本ストックや国民純貯蓄の動向を考えると、潜在成長率はそう遠くない段階で、マイナスの領域に入る可能性がある」と痛烈な批判を浴びせました。

 日経の《実質マイナス成長で再増税できるのか  編集委員 滝田洋一》は4〜6月期が年率マイナス7.1%に下方改定を受けて「政府は2014年度の実質GDPについて、前年度に比べ1.2%の成長を見込んでいるが、下方修正は必至だ。1.2%成長するというのは、13年度の4四半期平均で528.9兆円だった実質GDPが、14年度は535.2兆円に増えるという意味だ。なのに4〜6月期のGDPは年換算で525.3兆円まで減ってしまった。政府のもくろみ通り14年度に535.2兆円のGDPを達成するためには、7〜9月期以降の3四半期は、年換算で平均538.6兆円を稼がないといけない」と、ほとんど駄目を出す形になっています。

 それでも応援団の立場上、「幸いにも、14年4〜7月の税収実績は上振れしており、国債発行に頼らずに補正予算を組むことは可能だ。財政政策に合わせて追加の金融緩和に踏み切れば、景気下支えの効果は大きいだろう。潜在成長力を高める成長戦略を急ぐべきなのはいうまでもない」と期待をつなぎます。

 既に経済財政諮問会議の民間議員である伊藤元重東大教授が《消費再増税を前提に今年度補正を》で「消費増税で経済が悪化するという心理効果が出るといけない。補正を打つなら年末だ。補正をやるというメッセージが重要だ」と主張しています。安倍首相が執念を燃やす来年度からの法人税引き下げについては「仮に消費税を上げないという決断になれば、当然、法人税を下げるのは難しい」との見通しを述べています。

 今年度で0.1%マイナス成長を予測している河野氏は財政出動のような小手先の対策が効く局面ではなくなっているとの立場です。「10―12年度の潜在成長率は0.3%まで低下したと述べたが、寄与度を分解すると、労働投入がマイナス0.4ポイント、資本投入が0.1ポイント、全要素生産性(TFP)が0.6ポイントとなる。今後も労働投入が年率0.8ポイント程度で減少することを考えると(寄与度はマイナス0.6ポイントまで悪化)、資本投入とTFPを高めていかなければ、0.3%の潜在成長率を維持することは難しい」と、生産年齢人口が減り続ける基調の影響が大きいと指摘します。

 国民純貯蓄は社会保障費の膨張に食われて資本投下に回る余裕がなくなっており、さらにまともに評価できる成長戦略が出てこない以上、全要素生産性が改善されるはずもありません。無理矢理の財政出動をしても建設業など人手不足で予算消化がおぼつかない有り様になるでしょう。結果として財政規律は今以上に緩み、何のために増税しているのかすら分からなくなるだけです。

 先日の第444回「安倍政権は科学技術立国を破壊:企業特許に大学」は勝算もなく思いつきで大学や企業の研究開発に手を突っ込む安倍政権と官僚の姿を描きました。年収1000万円以上に限っての「残業代ゼロ」施策導入といい、結果に責任を取るつもりもなく火遊びをしているようにしか見えません。本来なら大学は成長戦略の柱になり得るのですが、先進国で日本だけ特異な研究論文数減少傾向で明らかなように政策失敗の場になっています。

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