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第447回「セウォル号沈没での不作為なければ全員助かった」 (2014/09/24)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 300人を超す犠牲者が出た韓国セウォル号沈没事故で、乗船の476人が退船命令さえ出ていたら短時間で全員脱出できたと法廷で専門家が証言しました。海洋警察が到着した時点でも6分17秒で済み、不作為の罪は重大です。船長・船員による退船命令出されずもさることながら、船を見捨てた乗組員を受け入れたまま積極的な救助活動をしなかった海洋警察救助艇の責任も問われるべきです。ところが、海洋警察に対する検察の捜査は進んでいません。犠牲者遺族が特別法を作って捜査権と起訴権を渡せとまで要求しているのも理由の無いことではありません。

 船長と船員らに対する殺人容疑など公判でのパク・ヒョンジュ嘉泉大学超高層防災融合研究所所長証言を《セウォル号事故シミレーション結果、476名5分ほどで全員脱出可能》がこう伝えています。

 《事故直後である4月16日午前8時50分、セウォル号が左舷(さげん)に30度傾いた状態から全ての避難経路を利用し、左舷3階のデッキに脱出するシナリオ、近くのデュラエース号船長の勧告により午前9時24分ごろ、左舷に52.2度傾いた状態から3階のデッキに脱出するシナリオ、1等航海士が操舵室から出てきて海洋警察123艇に乗り込もうとした午前9時45分ごろ、59.1度左舷に傾いた状態から4、5階のデッキに脱出するシナリオなどだ。最初のシナリオに沿ってシミレーションを行った結果、セウォル号乗船員476名全員は事故直後船長と船員らの退船命令があったら、わずか5分5秒ほどで脱出することができたことがわかった。2つ目、3つ目のシナリオに沿ったシミレーション結果でもそれぞれ9分28秒、6分17秒ほどで全ての乗船員が安全に船を抜け出して救助されることができた》


 『沈没報道の韓国メディア、海洋警察の劣悪さ無視』で引用した朝鮮日報の現場写真です。漫然と立ち尽くしている海洋警察官が、やがて船員が出てくる目の前の操舵室に飛び込んで即刻退船を指示していたら、6分ほどで全員助かったのです。海難に対処する専門家として必死さがあれば、事態はハッピーエンドに変わっていたでしょう。

 しかし、《裁判を目前に遅々として進まぬセウォル号事故捜査(2)》は検察が苦慮していると報じるのみです。《船内に進入して乗客に脱出を指示しなかったため物議をかもした木浦(モクポ)海洋警察123艇所属の海洋警察官の起訴可否について苦悩している。123艇の艇長に対する業務上過失致死容疑の適用有無に注目が集まっている。 だが、光州地検関係者は「海洋警察123艇のキム艇長に対して拘束令状を再請求するのか」という質問に対し、「123艇が何もしなかったわけではないし…。 世界的に類例のない事例であるため、どんな法律的定規を突きつけるべきかを検討している」と話した》

 海洋警察のヘリは船の上にも到着しており、船内の高校生の証言が《‘船長ら 自分たちが生きるために退船命令下さず脱出 共謀’判断》に出ています。《「海洋警察は上から全て見ることができる状況であったのに、状況をただ見守っていた。 海洋警察官が‘上がって来れる人は上がって来なさい’と言ったと友達から聞いた」と答えた。 またKさんも「(船室から脱出して上がってきたが)甲板にいた海洋警察はじっとしていて、ある瞬間にいなくなった」と証言し、また別のOさんは「海洋警察は甲板の外壁に立っていて、ヘリコプターに引き上げるだけだったし、生存者が脱出した出入口側に行く姿は見られなかった」と証言した》

 8月に『奇怪な韓国の闇、民衆は達観する「愚政府・愚役人」』で韓国官庁の悲惨なほどの無能さを描きました。民衆はよく知っている事実なのですが、300人余という犠牲の大きさに耐えられない思いでしょう。しかし、法治国家として機能しているとは思えず、裁判を含めて適切な裁きが付けられるか、極めて疑わしいのです。

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