虚飾の青空剥がれ北京に重篤な大気汚染が戻る [BM時評]

 中国の北京を中心にした華北一帯が今月初めに続いて重篤な大気汚染に見舞われています。16日昼から始まって17日中は継続する見込み。国威発揚の軍事パレード向けに無理やり実現した青空は跡形もありません。人民日報は中度汚染の天気予報を出していましたが、北京中心部などで大気質指数が300を超え屋外活動中止の重汚染が広がっていると、以下に掲げる米国大使館サイトの地図から読み取れます。指数が400台に乗っている地点があり、PM2.5濃度が1立方メートル当たり200マイクログラムを超えています。  茶色のマークが重汚染、紫色が激しい屋外活動を中止すべき中度汚染(指数201〜300)です。中度汚染の範囲は南の長江流域までも伸びています。赤色の軽度汚染は北は吉林省から中国全土に及びます。《大気汚染で白くかすむ北京の風景!全国広範囲にわたって「視界不良」に―中国》は《東部の江蘇省連雲港市では今秋最悪の濃霧が発生。わずか50メートル先までしか見えないエリアもあり、山東省でも高速道路を走る車両が速度を落とす様子が見られた》と伝えました。

 今月5、6日に重篤スモッグが発生した際には北京市当局から「黄色警報」が出され、建設・土木現場で作業が中止されました。これでは焼け石に水です。軍事パレードの青空は北京と周辺の6省市で1万の工場と4万の建設現場が操業停止に加え、全車両の半分はナンバーの奇数・偶数で隔日使用停止という強権発動で実現された付け焼き刃でした。

 これから暖房に石炭を使うシーズンに入れば、昨年の第412回「中国重篤スモッグの巨大さが分かる衛星写真」で紹介した驚異的な大気汚染が再現されるに違いありません。汚染改善は遅々として進まず、8月には《中国では大気汚染で毎日4400人が死んでいる(研究結果)》が《カリフォルニアを拠点とする気候調査団体「バークレイ・アース」によると、中国では毎年約160万人死んでいると推定した。死因は地方の大気汚染による健康被害だ》と報じています。