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第506回「イスラム選民教義が危険、テロに責任とイラク紙」 (2015/11/23)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 大部分のイスラム教徒は同時多発テロと無関係のはずですが、イスラムの選民教義がテロを招いているのであり「ムスリム全員がテロの直接責任者」との厳しい主張が、アラブ世界に属するイラク紙から発信されました。ワシントン・ポスト紙もイスラム研究者による「教義は何かしらテロに関係ある」とする主張を記事にしています。預言者ムハンマド以来のイスラムの教義は動かせないものと考えられてきましたが、21世紀の世界を安定に導くには大改革が必要と言うのです。

 中東報道研究機関メムリの《アラブとムスリムは世界に荒れ狂うテロの直積責任を認めよ ―イラク紙編集長の主張― 》はこう述べます。

 《小学校、中学校、高等学校そして後になると大学でも、宗教と歴史の教科で我々は選民であり、至高且つ栄光の民であるとか、我々の宗教が真の宗教であり、(地獄の業火から)救われる正しい民は我々であるとか、ほかの民は偽りの民で地獄に落ち業火に焼かれる不信心の民であり、その民の殺害は許され、その民の財産と妻を我々がとっても構わないなどと教えている》

 《我々の子供達と孫達は、他者の宗教や民族或いは国籍などに関係なく、すべての他者を敵視して、世界聖戦をやっているのである。この環境が過激イスラム集団を生みだした。この集団は、貧困と失業という土壌で発芽し、汎アラブ主義の名においてそして又時には宗教と宗派の名において犯される拝斥、人権強奪、個人及び集団の自由の侵害そして信義の侵害によって育っていく》

 《我々はテロに対する我々の責任からのがれることはできない。言い訳も役に立たない。まず我々は責任を認め、我々自身と他者に謝罪し、今から我々の生き方を改めていかなければならない。そのためには、教育のカリキュラムを再検討し、初等教育から大学レベルまでそれを根本からかえなければならない。それをやらないと何も前に進まない》

 ワシントン・ポストの「Shadi Hamid」署名による《Does ISIS really have nothing to do with Islam? Islamic apologetics carry serious risks.》について、東京大学先端科学技術研究センターの池内恵・准教授がフェイスブックで解説してくれています。ジハード「聖戦」が問題です。

 《イスラーム教の教義の中に厳然として存在するジハードの規範が、近現代の国内法・国際法とは異なる原理に基づいている》

 《イスラーム教の教義の中には、イスラーム教の観点からあってはならない国内・国際秩序を武力で制圧することが義務であるという主張が正統化される余地があるという事実は、直視しなければ対峙できない》

 《メディアの報道は、教義の面を誰一人理解せずに報じているので、「差別と偏見が原因だ」と言ったものになりがちだ》

 《教義の一部が、一部の信者をテロに走らせているという因果関係は見つめないといけない。こちらが先にあるものだからであり、「根本原因」を探るのであれば、こちらにも取り組まなければならない》

 2003年の拙稿第139回「イスラム、自爆テロそして自衛隊」では中東で生まれたユダヤ教、キリスト教、イスラム教は同じ神を信じる一神教の宗教であり、三つの宗教は対立していなかった歴史から説き起こしています。

 しかし、イスラム教では地上に神の国を実現するイスラム共同体を防衛するジハードが成人男性の義務とされ、殉教者は最後の審判を受けることなく天国へ導かれるとコーランは記します。 イラク戦争で《政治的にも軍事的にも八方塞がりであったフセイン大統領は、ジハードによる戦いに持ち込むために、敢えて早々に敗れた》可能性があり、そのイラク軍残党が現在のIS(イスラム国)の中心メンバーを構成しています。

※関係記事の分野別入り口・・・《人口・歴史》 《政治・経済》




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