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第512回「訪日観光客、リピーター増で質の変化始まる」 (2016/01/24)

(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 2015年に1973万人に達した訪日外国人客。リピーター獲得が課題と言われる中、国別に見ると既に飛び越えた動きがあります。空港間のシェア変動が東京・大阪間のゴールデンルートからはみ出しつつあると示します。特に注目は客数3位367万人の台湾、4位152万人の香港です。訪日外国人旅行者消費動向調査で訪日1回目が2割に満たず、10回以上と答えた人が2割以上いるのです。主要な国別に2013年と2014年の客数実績・伸び率、2015年推計値と各国・地域の人口に対する割合を一覧にしました。


 人口比で台湾15.7%と香港18.9%は際立っています。国民のほぼ6人に1人、5人に1人が2015年中に訪日したことになるからです。続く韓国8.3%、シンガポール6.1%も驚くに値する数字です。2014年に日本から中国へは271万人、韓国へは228万人ですから、日本の人口比では2%のレベルです。シンガポール並になれば800万人ですから、もしそれだけ日本から中国を訪れたら国内で「大中国ブーム」と騒がれるはずです。中国の訪日客数も人口の0.4%に達し、1%に迫るに従い質的変化が大きくなるでしょう。

 2015年10−12月実施の訪日外国人旅行者消費動向調査では全体でも訪日1回目は39.2%しかなく10回以上が14.6%を占めました。10回以上が多い順に並べると香港21.9%、台湾20.2%、韓国19.4%、シンガポール16.8%、米国14.1%です。初めて100万人を突破した米国を含めて、東京・富士山・京都・大阪といったゴールデンルートから外れた日本旅行の多様化が進まないはずがありません。

 ビザの緩和などで訪日客数が2015年に人口比で1%を超したタイ、マレーシアなどが多様化を追い掛けています。現地取材した東洋経済の《日本への旅行熱が止まらない、タイ人の本音 中国人とはちょっと違う「好き」の理由》はこう伝えています。

 《個人旅行で気軽に日本へ行く人が増え、年1回は必ず日本に鮨を食べに行くという人がいるくらい、リピーターが続出している》《取材目的で話し掛けると、反対に色々なことを質問されるのだが、その内容はかなり細かい。そして、ここまでバラエティに飛んだ都市名が出るのかと驚くほど、北海道から沖縄まで、様々な観光地の名前が出てくる》《40代の奥様グループ3人組は、それぞれが家族旅行で日本を訪れることを計画中。いずれも、5回以上は日本を訪れているという》

 訪日外国人旅行者消費動向調査は調査員による聞き取りで、主要空港利用者シェアを推計できそうです。2013年から2015年まで10−12月期調査から主要7空港間の出入国シェアをグラフにしました。


 羽田の滑走路が増強されたのに成田と合わせた首都圏のシェアが5割を切るまで落ちています。中部も落としている一方、関西・福岡・那覇の西日本と新千歳は伸びています。脱ゴールデンルートの質的変化を表す傾向と見てよいでしょう。関西は2015年に初めて外国人客1000万人を達成しました。中国から九州などに直行する格安航空路線が増えた効果も出ています。

 アジア諸国中心に日本旅行ブームを巻き起こしたのは円安の力が大ですが、1ドル80円の円高時代にも決まり切った日本観光に飽きたらない動きはありました。『ディープな日本にまで入り込む外国人観光客』(2011/01/26)で紹介しています。ホスト側としてメニューを多様化する必要はあるものの、現実にはインターネットの情報で外人客は気になる観光資源を発掘しています。

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