第516回「炉心溶融の判断根拠無いから無しと発表の愚が暴露」
福島原発事故から5年も経って恐ろしく愚かな発表が東電から出されました。大津波翌日から言われていた炉心溶融が2カ月間も政府・東電の発表から消えた理由は、東電が判断根拠を持たなかったからと明かされました。しかも、今になって調べると「社内マニュアル上では、炉心損傷割合が5%を超えていれば、炉心溶融と判定することが明記」されていたので、判断する根拠は備わっていました。大津波4日目には5%を超す損傷が確認されて法令に従った報告書が提出されていたのです。原発のマニュアルは政府の原子力安全・保安院、原子力安全委にも備わっているべきであり、発表の根拠を問う実証的な取材を怠ったマスメディアを含めて愚劣も極まります。
東電のプレスリリース《福島第一原子力発電所事故当時における通報・報告状況について》は「新潟県技術委員会に事故当時の経緯を説明する中で、上記マニュアルを十分に確認せず、炉心溶融を判断する根拠がなかったという誤った説明をしており、深くお詫び申し上げます」としています。さらに原子力災害対策特別措置法15条で内閣総理大臣が原子力緊急事態を宣言するために報告を求められている「非常用炉心冷却装置注水不能」や「直流電源喪失(全喪失)」などの事象発生報告が遅れた点も反省事項として挙がっています。
大津波翌日午後の政府記者会見で保安院の中村幸一郎審議官が「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表したのはよく知られています。しかし、やがて中村審議官は発表の場から消えてしまい、炉心溶融は禁句の扱いになっていきました。「大本営発表報道」に傾いていたメディア各社は、燃料棒が長時間、冷却水から露出した事実を知りながら政府・東電に同調してしまいました。今回の東電発表を責めるなら、自らの愚かさも俎上に載せるべきです。
大津波翌日の第244回「福島第一原発は既に大きく壊れている可能性」、翌々日の第245回「福島第一原発3号機も炉心溶融、後手の連続」で伝えているように、公表されていた原発敷地での放射線量をウオッチしていれば炉心溶融が無ければあり得ないほど高水準になっていました。
5月24日に公表された《福島第一・第二原子力発電所への地震・津波の影響について》で73ページを参照してもらうと、1号機の原子炉水位は大津波翌日正午には燃料頂部から1500ミリ以上も下がった最低ラインに落ちています。冷却する水が無いのですから30分、1時間で燃料棒は溶けてしまいます。
保安院・中村審議官が発表していた時刻には完全に炉心溶融していたのです。住民避難の観点からも安全側に倒して判断する原則が全く機能せず、判断基準が無いから炉心溶融の事実を口にしないとは、何という恐ろしい錯誤・倒錯でしょう。
東電のプレスリリース《福島第一原子力発電所事故当時における通報・報告状況について》は「新潟県技術委員会に事故当時の経緯を説明する中で、上記マニュアルを十分に確認せず、炉心溶融を判断する根拠がなかったという誤った説明をしており、深くお詫び申し上げます」としています。さらに原子力災害対策特別措置法15条で内閣総理大臣が原子力緊急事態を宣言するために報告を求められている「非常用炉心冷却装置注水不能」や「直流電源喪失(全喪失)」などの事象発生報告が遅れた点も反省事項として挙がっています。
大津波翌日午後の政府記者会見で保安院の中村幸一郎審議官が「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表したのはよく知られています。しかし、やがて中村審議官は発表の場から消えてしまい、炉心溶融は禁句の扱いになっていきました。「大本営発表報道」に傾いていたメディア各社は、燃料棒が長時間、冷却水から露出した事実を知りながら政府・東電に同調してしまいました。今回の東電発表を責めるなら、自らの愚かさも俎上に載せるべきです。
大津波翌日の第244回「福島第一原発は既に大きく壊れている可能性」、翌々日の第245回「福島第一原発3号機も炉心溶融、後手の連続」で伝えているように、公表されていた原発敷地での放射線量をウオッチしていれば炉心溶融が無ければあり得ないほど高水準になっていました。
5月24日に公表された《福島第一・第二原子力発電所への地震・津波の影響について》で73ページを参照してもらうと、1号機の原子炉水位は大津波翌日正午には燃料頂部から1500ミリ以上も下がった最低ラインに落ちています。冷却する水が無いのですから30分、1時間で燃料棒は溶けてしまいます。
保安院・中村審議官が発表していた時刻には完全に炉心溶融していたのです。住民避難の観点からも安全側に倒して判断する原則が全く機能せず、判断基準が無いから炉心溶融の事実を口にしないとは、何という恐ろしい錯誤・倒錯でしょう。