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第552回「時間との競争になった韓国内の反中感情形成」 (2017/03/22) 

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 高高度迎撃ミサイル(THAAD、サード)韓国配備で中国が韓国に加えている報復が反中感情の数字として現れてきました。5月の大統領選有力候補は親中であり、反中世論が引き返せない地点まで進むか焦点化です。韓国シンクタンクの峨山政策研究院による月例調査で3月の対中好感度が大きく落ちて、釜山の慰安婦像設置問題で駐韓大使を召喚している日本以下になりました。この一方で韓国調査会社が実施のネットアンケートで、中国内では圧倒的多数の国民がサード配備を国際問題として重視していると判明しました。中国政府が行き過ぎ気味に国民を煽っており、簡単には方向転換できないでしょう。大統領選後の新政権発足時に韓国世論がどうなっているか、時間との競争になりました。


 峨山政策研究院の調査を伝えた《サード報復で対中好感度急落、日本以下に(韓国語)》のデータをグラフ化しました。10点満点の好感度は対米が最も高く、次いで対中、対日、対北朝鮮の順番が維持されてきたのに、3月は日本の「3.33」より中国が「3.21」と低くなりました。1月が対中「4.31」だったのですからまさに急落です。3月の対米は「5.71」、対北朝鮮が「2.17」でした。60歳以上が「2.72」と大きく落としたのが注目されているものの、30代も50代も日本以下でした。

 韓国聯合ニュースによる《中国人の56%「ロッテマート営業停止は誤った政策」(韓国語)》が韓国調査会社ナイスR&Cによる中国人2100人アンケート結果を報じています。《今回の調査で回答者の84.2%が中国が直面している国際問題の中で最も重要なのが、朝鮮半島へのサード配置と答えた。南シナ海の領土紛争(6.2%)、北朝鮮の核問題(5.1%)、米国の自国中心主義(4.4%)を大きく上回った》

 消防当局の査察などによる《中国政府のロッテマートの営業停止について「非常に誤った政策」(37.2%)、「誤った政策」(19.0%)など否定的な評価が56.2%を占めた》ものの《韓国観光商品の販売禁止については、「非常によくやった政策」(54.1%)、「よくやった政策」(33.1%)などの肯定的な意見が多数であった》とされました。第550回「中国のやり過ぎ韓国いじめで反中が起きないなら」で取り上げた韓国旅行禁止措置は韓国に非常に大きな経済損失を招く一方で中国の痛みは少ないと言えます。しかし、百店舗近いロッテマートの営業停止は中国の雇用・消費者の利便に響きます。

 朴前大統領の弾劾決定を受けて保守派の混乱は続き、力がある大統領選候補が見当たりません。世論調査では親中左派系への支持が上位です。新政権で配備が決まっているサードを撤回する事態になれば、北朝鮮の核ミサイルから在韓米軍が丸裸になり、70年間も韓国を守ってきた米軍の撤収に繋がるとの危機感が保守派にはあります。

 博打が好きでカモになりやすい人に対して「コケの一眠り」という言葉があります。コケにされ巻き上げられても、一眠りして起きてきたら博打の味が忘れられず、またカモにされる愚かな状態です。習近平主席による再三の反対表明を無視してメンツを潰したサード配備だとは言え、今回の中国の激しい報復が「コケの一眠り」で済まない反中感情を呼び起こしている点は間違いないでしょう。しかしSNSでウオッチしていると、韓国にはサード配備撤回の声も相当あります。朴前大統領の外交のように、米国と中国の間をどっち付かずでフラフラするのが良いと考える意見も根強くあります。第551回「グーグル翻訳の劇的進化で中韓現地情報が面白い」を参考にウオッチしていただくと良いでしょう。

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