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自主避難の根拠は放射線障害防止法の下の平等 [BM時評] (2017/04/08)

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(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 今村復興相が福島原発事故での自主避難者について「帰還は自己責任」と発言した問題には誤解と混乱があります。自主避難に法的根拠がある点について、発言撤回した大臣も追及のマスメディアも認識が足りないのです。1年間に被ばくする線量限度を「1ミリシーベルト(mSv)」とすると放射線障害防止法が規定しています。ところが政府は原発事故による緊急避難として「年間20ミリシーベルト」まで認める運用をしてきました。次々に出ている避難指示解除もこの路線上にあり、医療機関などにある放射線管理区域に当たる線量でも帰還して生活して良いことになっています。故郷に帰りたい高齢者ならそれでも構わないと思うでしょうが、これから子育てをする若い層が「帰れない」と思うのは当然です。避難指示解除で帰らない人も自主避難者に加わることになり「法の下の平等」が根拠である点を再認識すべきです。

 放射線障害防止法の条文をそのまま読んでも「年間1ミリシーベルト」は出てきません。この法律は放射線源施設の認証基準をそれぞれ規制していって、外にある一般社会での線量を一定以下に落とすよう出来ています。法第十二条の三「認証の基準」は文部科学大臣らに省令で定める技術基準で認証するよう求めています。それに基づく施行規則第十四条の三には「当該申請に係る使用、保管及び運搬に関する条件に従つて取り扱うとき、外部被ばく(外部放射線に被ばくすることをいう。以下同じ。)による線量が、文部科学大臣が定める線量限度以下であること」とあります。そして、文部科学省の「設計認証等に関する技術上の基準に係る細目を定める告示」で「文部科学大臣が定める線量限度は、実効線量が一年間につき一ミリシーベルトとする」となっているのです。法律である以上、国民は国や自治体に法を守るよう求める権利があります。

 福島原発事故から6年、「無理にでも復興」の動きが露骨です。昨秋の第539回「役場集落等だけ再生?福島の『復興像』に疑問」で「役場周辺集落などを重点的に除染して住民帰還させ、町復興のシンボルにする政策意図です。しかしこれでは、チェルノブイリ事故での住民の移住基準であり、放射線障害防止法で定める放射線管理区域の設定基準でもある年間5ミリシーベルトを超える地域に役場集落がぽつんと存在することになります」と、チェルノブイリと比べても異様な運用に疑問を呈しました。

 「帰れない」のは当事者の問題とするのはとんでもない誤解です。福島でも避難指示を出さなかった郡山市などの地域、関東の放射能汚染ホットスポットなどから多くの自主避難が出ています。福島県だけで2万6000人とみられています。事故当時に「最低限でも学童疎開はするべき汚染レベル」と指摘したのに、住民をつなぎとめたい国と自治体が適切に対処しなかったツケが顕在化したと考えるべきです。福島県外なら放射線管理区域では飲食も寝泊まりも禁止され、できるだけ速やかに退出するように規定があります。「気のせい」で帰れないのではありません。

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