第564回「北朝鮮の砲撃から学校避難準備が無い油断の韓国」

 空襲警報を鳴らした民間防衛訓練で韓国ソウルの学校が運動場に集合させた朝鮮日報報道を見て目が点になる思いです。朝鮮戦争は休戦状態で一触即発なのに行政も市民も平和ボケの日々を安易に過ごした愚そのものです。国境に展開する長距離砲の集中砲火を浴びたらソウルは火の海と言われ、左派の新大統領は「朝鮮半島で戦争はさせない」と早くも対決の旗を降ろし、それ以前の保守政権にも北と対峙する覚悟と準備が無かったと証明されました。2015年の第477回「安全になれぬ韓国、手抜き勝手の国民意識が原因」で「個人判断でされた勝手な手抜きがどこに潜んでいるか知れない社会など、危なくて付き合っていられません」と指摘しましたが、ここに至ると社会全体の手抜きの規模が半端で無さ過ぎです。  朝鮮日報《空襲警報鳴ると学生は地下施設がなく運動場に集まった》の報道写真を引用しました。《避難訓練が実施されたソウルのある小学校の生徒が教室から出て運動場の隣のスタンドに座っている様子》と説明されています。

 もちろん運動場は相手が長距離砲であれミサイルであれ核爆弾であれ危険極まりない場所です。地下施設に避難するのが当然ですが、朝鮮日報がソウル市内の小中高校45校に聞き取りした結果、地下施設がある学校は6校しか無かったそうです。ソウル市教育庁は地下避難施設がある学校の数を知らなかったと言い、早期に全数調査するそうです。現状では「ソウル市内の小中高校の児童・生徒約100万人が有事の際、敵の攻撃に最もさらされやすいことになる」わけです。

 今月始めにやはり朝鮮日報のインタビューで、韓国軍の元最高幹部が300門以上ある長距離砲による打撃はコンクリートの壁を貫通する力がなく、スカッドミサイルも1メートル厚のコンクリートなら止められるから地下の頑丈な建物に入れば安全としていました。長距離砲の着弾まで6〜7分あるので避難でき、北朝鮮の報復攻撃で何万人も死ぬ事はないとの見立てでした。

 しかし、学校でさえきちんと避難できない現状だと分かれば認識が全く違ってきます。北朝鮮に見くびられ、韓国は強く出るどころか脅したらいくらでも後退する相手だと見透かされるのは必至です。