第587回「2年で3割アップの韓国最低賃金、呆れる国際機関」
2年間で29%も最低賃金を上げると決めた韓国。大統領選の公約実現に突っ走る無謀さにIMFやOECDから「速すぎる」と諌める声が出ています。改定された東京の最低賃金をも上回り、日本の地方と大差になります。貧困層救済を掲げても、売上増が伴わないのに人件費だけ大幅増加すれば商品やサービスの値上げや雇っている人員の削減に向かわざるを得ず、すでに徴候が現れています。国際競争力にも響きます。マスメディアも社説などで警鐘を鳴らしますが、韓国政府は聞く耳を持たないようです。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が選挙公約で時間当り最低賃金1万ウォン(約千円相当)を掲げたのが発端です。昨年は16.4%も引き上げ、今年は引き上げ幅10.9%と決めたのを受けて、中央日報日本語版が《IMFが警告「韓国の最低賃金引き上げ速度は速い」》と報じました。
《国際通貨基金(IMF)が韓国の最低賃金引き上げスピードがとても速いと指摘した。先月経済協力開発機構(OECD)が懸念の声を出したのに続きIMFまで韓国の最低賃金引き上げに対し速度調節に出ることを注文したもので関心を引く》《韓国の最低賃金引き上げと関連し「特定地点を超えれば韓国経済のファンダメンタルズに損傷を負わせかねない。とても慎重にアプローチする必要がある」と明らかにした》
韓国の最低賃金は8350ウォンで825円相当、全国全産業一律です。日本には無い週休手当という法律で決まった制度があり、週に15時間以上働くと1日分の賃金が余分にもらえます。週に40時間で計算すると週休手当が加われば990円相当になり、決まったばかりの東京の最低賃金985円より高いのです。東北や四国、九州などは760円余である点を考えると、韓国の高い最低賃金に中小企業や自営業者が耐えるのは過酷と分かります。
日本の改定では3年連続3%増加で中小企業が悲鳴と騒いでいますが、2年で29%の韓国とは比べるべくもありません。ただし、韓国は高い賃金を払いきれない零細業者には配慮して月に被雇用者1人1万円程度を国の財政で補填することにし、3000億円を計上しています。民間経済活動にこのように首を突っ込むべきか、また補填制度が永続できるか、持続可能性も問題視されています。
中央日報は青年層の雇用への影響を書いています。《工事現場や宅配に追いやられる韓国の青年たち…単純労務職25万人で過去最大》にこうあります。
《学校を卒業したり中退した15〜29歳の青年層のうち単純労務職に従事する青年は5月現在25万3000人と集計された。1年前より2万7000人増えた。関連統計が初めて集計された2004年5月の26万4000人以降で最も多い数値だ。統計分類で単純労務従事者は建設業などの補助要員、給油員、配達員などを含む》
《青年層が好む雇用がますます減っている影響と分析される。質の良い雇用が多い製造業雇用数は最近になり急激な下落傾向を見せている。先月の製造業雇用数は1年前より12万6000人減少した。4月から3カ月連続で減っている上に、減少幅も次第に大きくなっている。その上急激な最低賃金引き上げでサービス業などの雇用が減ったことも単純労務職に従事する青年の数を増やしているとみられる。先月の卸小売業と飲食・宿泊業の就業者は前年比で3万1000人減った。昨年12月から7カ月連続の減少だ》
公約実現にはもっと上げなければなりませんが、政府系の研究機関が2年後に最低賃金1万ウォンなら14万人の雇用が失われると指摘しました。高止まり失業率対策として公務員定員まで増やす政策と矛盾します。
高かった大統領支持率が陰っています。朝鮮日報日本語版は《文大統領支持率6週続落62%=就任以来最低》と伝えました。
《文在寅大統領の支持率が6週連続で下落した。韓国ギャラップが27日に発表した文大統領の支持率は先週よりも5ポイント低い62パーセントだった。これはギャラップが調査した文大統領の支持率としてはこれまでで最も低い。先月第2週の調査では79パーセントを記録したが、その後6週間で17ポイント下落したことになる》《今回支持率が最も下がったのは年齢別では20代でマイナス17ポイント、職業別では自営業者でマイナス12ポイントだった》
1年前に第562回「経済オンチの国家トップ戴く中韓の危うさ急拡大」で指摘した危うさが中国でも韓国でも本物になりつつあります。中国では金融政策が右往左往し、米中貿易戦争を受けて習近平主席の目立ち過ぎを避ける動きが出ています。個人崇拝を感じさせる、ご自慢の「中国の夢」のポスターを外すなどです。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領が選挙公約で時間当り最低賃金1万ウォン(約千円相当)を掲げたのが発端です。昨年は16.4%も引き上げ、今年は引き上げ幅10.9%と決めたのを受けて、中央日報日本語版が《IMFが警告「韓国の最低賃金引き上げ速度は速い」》と報じました。
《国際通貨基金(IMF)が韓国の最低賃金引き上げスピードがとても速いと指摘した。先月経済協力開発機構(OECD)が懸念の声を出したのに続きIMFまで韓国の最低賃金引き上げに対し速度調節に出ることを注文したもので関心を引く》《韓国の最低賃金引き上げと関連し「特定地点を超えれば韓国経済のファンダメンタルズに損傷を負わせかねない。とても慎重にアプローチする必要がある」と明らかにした》
韓国の最低賃金は8350ウォンで825円相当、全国全産業一律です。日本には無い週休手当という法律で決まった制度があり、週に15時間以上働くと1日分の賃金が余分にもらえます。週に40時間で計算すると週休手当が加われば990円相当になり、決まったばかりの東京の最低賃金985円より高いのです。東北や四国、九州などは760円余である点を考えると、韓国の高い最低賃金に中小企業や自営業者が耐えるのは過酷と分かります。
日本の改定では3年連続3%増加で中小企業が悲鳴と騒いでいますが、2年で29%の韓国とは比べるべくもありません。ただし、韓国は高い賃金を払いきれない零細業者には配慮して月に被雇用者1人1万円程度を国の財政で補填することにし、3000億円を計上しています。民間経済活動にこのように首を突っ込むべきか、また補填制度が永続できるか、持続可能性も問題視されています。
中央日報は青年層の雇用への影響を書いています。《工事現場や宅配に追いやられる韓国の青年たち…単純労務職25万人で過去最大》にこうあります。
《学校を卒業したり中退した15〜29歳の青年層のうち単純労務職に従事する青年は5月現在25万3000人と集計された。1年前より2万7000人増えた。関連統計が初めて集計された2004年5月の26万4000人以降で最も多い数値だ。統計分類で単純労務従事者は建設業などの補助要員、給油員、配達員などを含む》
《青年層が好む雇用がますます減っている影響と分析される。質の良い雇用が多い製造業雇用数は最近になり急激な下落傾向を見せている。先月の製造業雇用数は1年前より12万6000人減少した。4月から3カ月連続で減っている上に、減少幅も次第に大きくなっている。その上急激な最低賃金引き上げでサービス業などの雇用が減ったことも単純労務職に従事する青年の数を増やしているとみられる。先月の卸小売業と飲食・宿泊業の就業者は前年比で3万1000人減った。昨年12月から7カ月連続の減少だ》
公約実現にはもっと上げなければなりませんが、政府系の研究機関が2年後に最低賃金1万ウォンなら14万人の雇用が失われると指摘しました。高止まり失業率対策として公務員定員まで増やす政策と矛盾します。
高かった大統領支持率が陰っています。朝鮮日報日本語版は《文大統領支持率6週続落62%=就任以来最低》と伝えました。
《文在寅大統領の支持率が6週連続で下落した。韓国ギャラップが27日に発表した文大統領の支持率は先週よりも5ポイント低い62パーセントだった。これはギャラップが調査した文大統領の支持率としてはこれまでで最も低い。先月第2週の調査では79パーセントを記録したが、その後6週間で17ポイント下落したことになる》《今回支持率が最も下がったのは年齢別では20代でマイナス17ポイント、職業別では自営業者でマイナス12ポイントだった》
1年前に第562回「経済オンチの国家トップ戴く中韓の危うさ急拡大」で指摘した危うさが中国でも韓国でも本物になりつつあります。中国では金融政策が右往左往し、米中貿易戦争を受けて習近平主席の目立ち過ぎを避ける動きが出ています。個人崇拝を感じさせる、ご自慢の「中国の夢」のポスターを外すなどです。