第614回「早くも日本侵入、駆除至難害虫に殺虫剤が無い」
世界各地の農業に甚大な被害を与えてきたガ、ツマジロクサヨトウが台湾上陸から1カ月で日本に侵入しました。トウモロコシ、稲など幅広く食べ世界拡散の過程で使われた農薬に耐性を持ってしまった恐ろしく厄介な害虫です。日経新聞の5日付《農作物に脅威のガ、日本に侵入 鹿児島で幼虫を確認》が《農林水産省は5日までに、鹿児島県南九州市の農場で、イネやトウモロコシに寄生する害虫のガ「ツマジロクサヨトウ」の幼虫が日本で初めて見つかったと発表した》《南九州市では、飼料用トウモロコシから見つかった。県が近隣自治体でも調査すると、似た虫の報告が寄せられ、確認を急いでいる》と報じました。幼虫発見は3日です。
6月の第611回「駆除至難害虫が台湾に到達、日本へは稲作が心配」で使った中国での拡散ぶりを示す地図に、日本侵入を書き加えました。今年はじめのミャンマーから中国雲南省へ侵入から、6月初めの台湾上陸、そして日本へです。世代のサイクルは1カ月なので6月8日に台湾で幼虫が発見された世代が成虫になり、鹿児島南西部の南九州市まで直線距離で1100キロを島伝いに移動してきたようです。成虫は一晩に100キロ、追い風があれば200キロも飛翔してしまうのです。また、中国本土から一気に風に乗ってきた可能性もあります。
日本農業新聞の5日付《ツマジロクサヨトウ 世界で拡大を警戒 侵入・飛来の現状報告 農林害虫防除研》はタイムリーに那覇市で開かれた「侵入・移入害虫の現状と課題」研究大会をリポートしています。
《農研機構・農業環境変動研究センターは、3日に鹿児島県で初めて報告されたツマジロクサヨトウについて説明した。侵入が警戒されている害虫で、アメリカ大陸が原産。2016年にアフリカ、18年にインド、19年に中国でも確認され、短期間に分布が拡大している。成虫はハスモンヨトウより小さく、アフリカシロナヨトウより大きい。現時点では防除に使える殺虫剤がない。昆虫分類評価ユニットの吉松慎一ユニット長は「ツマジロクサヨトウを含む害虫グループは見分けがつきにくい。DNAを用いた分類が求められる」と話した》 農水省はなんとか駆除する方針のようですが、これといった資料を示していません。PDF《ツマジロクサヨトウの発生の確認について》にある害虫の写真を引用しました。
世界各地で手を焼いているのが実情です。第611回「駆除至難害虫が台湾に到達、日本へは稲作が心配」で紹介していますから参照ください。日本の場合、稲作が襲われると手の施しようが無いと心配です。アメリカでやっているトウモロコシ商業生産の遺伝子組み換えは無理です。熱帯原産の虫で寒冷地では越冬できないのが唯一の救いながら、南日本で越冬して夏は北日本に攻め上るパターンになりそうです。
中国で着手された天敵の大量生産は面白いアイデアですが、一生に千個から2千個の卵を産み、世代のサイクルはわずか1カ月というものすごい繁殖力に対抗するのは容易ではありません。
日本農業新聞の5日付《ツマジロクサヨトウ 世界で拡大を警戒 侵入・飛来の現状報告 農林害虫防除研》はタイムリーに那覇市で開かれた「侵入・移入害虫の現状と課題」研究大会をリポートしています。
《農研機構・農業環境変動研究センターは、3日に鹿児島県で初めて報告されたツマジロクサヨトウについて説明した。侵入が警戒されている害虫で、アメリカ大陸が原産。2016年にアフリカ、18年にインド、19年に中国でも確認され、短期間に分布が拡大している。成虫はハスモンヨトウより小さく、アフリカシロナヨトウより大きい。現時点では防除に使える殺虫剤がない。昆虫分類評価ユニットの吉松慎一ユニット長は「ツマジロクサヨトウを含む害虫グループは見分けがつきにくい。DNAを用いた分類が求められる」と話した》 農水省はなんとか駆除する方針のようですが、これといった資料を示していません。PDF《ツマジロクサヨトウの発生の確認について》にある害虫の写真を引用しました。
世界各地で手を焼いているのが実情です。第611回「駆除至難害虫が台湾に到達、日本へは稲作が心配」で紹介していますから参照ください。日本の場合、稲作が襲われると手の施しようが無いと心配です。アメリカでやっているトウモロコシ商業生産の遺伝子組み換えは無理です。熱帯原産の虫で寒冷地では越冬できないのが唯一の救いながら、南日本で越冬して夏は北日本に攻め上るパターンになりそうです。
中国で着手された天敵の大量生産は面白いアイデアですが、一生に千個から2千個の卵を産み、世代のサイクルはわずか1カ月というものすごい繁殖力に対抗するのは容易ではありません。