第615回「自らの反日政策は棚上げ、被害者ぶる韓国大統領」

 対韓輸出規制10日目、ようやく文在寅(ムン・ジェイン)政権の対応が明確になり泥沼に突き進むしかないと判明しました。いわゆる徴用工問題など一切触れずに日本が政治目的で打撃を与えた、韓国は被害者との表明です。大企業30社と4つの経済団体を大統領府に招いた会合で《日本政府が政治的目的のために、私たちの経済に打撃を与える措置をとり、何の根拠も無しに対北制裁と関連付ける発言をすることは、両国の友好と安全保障協力関係に決して望ましくありません》と発言し、短期的な対策としても輸入先の多様化や国産化推進であり、大統領就任以来進めてきた反日政策は無視、外交の場で話し合う気配すら見せませんでした。

 4日付の第613回「韓国は脳内妄想:参院選が終われば日本は引く」で紹介したように選挙目的だから日本は簡単に引き下がると高をくくっていました。その甘い妄想は醒めて、今回の会合で《私たちの外交的努力にもかかわらず、事態が長期化する可能性を排除することはできません。非常に残念な状況だが、すべての可能性に備えなければなりません》と言い出しました。しかし、最後は《今日、私たちの出会いが心配される国民の希望になったらと思います。今までのように、私たちの経済を一緒に力を合わせて危機をチャンスに変えることができると思います》であり、能天気ぶりに呆れます。

 会合を伝えた保守系の朝鮮日報の《文大統領「外交的解決のために最善尽くしている」》(韓国語)に付いたコメントで最も支持されているのが《嘘だけいっぱい並べるな。国民はお前のように馬鹿ではない》でした。親日派を意味する「土着倭寇」という新造語まではやらせて反日感情を政治的に利用してきたのはムン政権である点は、保守系の読者には当たり前すぎます。

 ムン政権の代弁者と言える進歩系のハンギョレ新聞《大統領「日本政府、政治的な目的のために、私たちの経済打撃」》(韓国語)のコメント欄はどうでしょうか。《安倍の稚拙な経済報復を批判するどころか経済報復をムン・ジェイン政府を非難するのに利用する土着倭寇たちが涙ぐましい》。保守系新聞と自由韓国党が《一斉に韓国政府を非難するのに余念がない。天皇へ忠誠を誓い日本人将校となった独裁者、朴正煕の精神的な私生児連中らしい》とあるコメントが注目です。

 午後1時半の時点で最も多くの賛否が付いているコメントであり、「賛成12、反対13」でした。朝鮮日報のように多数のコメントと賛否が付くメディアではありませんが、この発言で賛否が拮抗しているのはハンギョレらしくないと申し上げます。《解決方法もなく無条件に大統領を支持する人々も大きな問題です》が「賛成11、反対3」だったのも驚きでした。

 韓国の反日意識は学校教育で仕込まれた側面があり、簡単に変わるとは思われませんが、輸出規制で揺さぶられて多少は民意に変化があるようです。しかし、大統領は本質的な問題で日本と話し合う気はありません。

 朝鮮日報の10日付コラム《[太平路]日本の経済報復が選挙用?》(韓国語)が率直に警鐘を鳴らしています。

 《日本が韓国に短剣を差し込む手段は無限である。韓国側が約束を破ったと主張する日本としては交渉することができる事案ではない。大統領は、事態の深刻さを認識してこだわりを捨てるべきだ。日本の「空気」を誤って読んだり、能力を誤判して正面衝突でいくというシナリオは悪夢だ》