第659回「ワクチンが効いた!東京・大阪の感染推移」

 (韓国との差は)
 新型コロナの新規感染は直近1週間の合計が人口10万人あたり「0.5例」前後にまで下がって非常に安定した状態になり、収束とも言える状況です。500キロ離れた2大都市、東京と大阪での感染推移を検証すると、日本の場合はワクチンがいかに効いたか分かります。感染減少で大阪は東京に大きく後れを取りましたが、ワクチン完全接種率の差がどう推移したかで理解できるのです。接種率がほぼ同じなのに、お隣の韓国が爆発的な感染増に苦しんでいる状況との差は第658回「BCG特定株の接種国で新型コロナ深く沈静化」で指摘したBCG日本株の存在と、デルタ変異株に弱いアストラゼネカワクチンを高齢者ら1100万人以上に打ってしまった不手際、医療体制を整えずに一気に規制緩和したズサンさにあります。まず「新型コロナ新規感染と東京と大阪のワクチン接種率」グラフを作成したのでご覧ください。  感染流行が酷くて「ステージ3」「ステージ4」といった言葉がニュースを賑わせていたのが遠い昔のようです。人口10万人あたりが「15」以上をステージ3,「25」以上をステージ4としていました。大阪がまだステージ4段階だった9月末から12月初めの直近1週間感染合計を東京と大阪で並べています。1週間ごとに発表される都道府県ごとの接種率が、9月27日は東京57.5%、大阪52.5%でした。5パーセントポイントの差が新規感染で東京「17」、大阪「29」と倍ほどにもなっており、当時は別の要因があるのではと探っていました。

 ところが、大きなヤマである感染数「10」を切るタイミングは東京6割・大阪6割とぴたりと合いました。その後、7割に達する際に東京は「1.5」、大阪は「2.5」くらいまで下がりました。11月29日現在で東京75.3%、大阪73.0%の完全接種率であり、東京は「0.7」に迫り、大阪は「1」を少し超える僅差になりました。東西の差は接種率が主要な要因と見て良いでしょう。

 韓国と違って、始めは入手し難かったメッセンジャーRNA型ワクチンに拘り、ファイザーとモデルナのワクチンを接種し続けて余分な要素が入らなかったのがこのようなグラフにしたとも言えます。ほぼ順調に減らしながらも共に途中では小さなうねりがあり、波乱が起きかけたこともあったようです。

 ワクチンが効いたとは言え、第658回「BCG特定株の接種国で新型コロナ深く沈静化」で見たBCG日本株が背後で支えてくれている点は間違いありません。最新の状況を12月2日現在(札幌医大の該当グラフ)で見ましょう。  沈静化は多くの国で続いており、日本、サウジアラビア、インド、フィリピン、インドネシアなど順調に新規感染を下げています。一方、成人だけがBCG日本株を接種している南アフリカが、例のオミクロン変異株流行で大きく感染を増やしました。なお、このグラフは人口100万人あたりで作られていますから、上のグラフと合わせるには感染数は10分の1にしてください。指摘しているBCG特定3株でない、デンマーク株接種のアラブ首長国連邦も圧倒的なワクチン接種率で沈静化が続いています。