第660回「BCG日本株接種国でオミクロン激増頭打ち」

 【1/23追補】
 過去最高の新型コロナ新規感染数を記録し続けるオミクロン株だが、昨年ほぼ沈静化していたBCG日本株接種国の間では流行立ち上がりから1カ月ほどで減る傾向にあります。世界で一番早くオミクロン株に襲われた南アフリカは欧米のような大流行に至ることなく、ちょうど1カ月で減少に転じました。フィリピンも1月弱でピークアウトし、サウジアラビアや台湾も感染減少に向かっています。こうした国から遅れてオミクロン流行になった日本なども間もなく減少傾向に転じる可能性が高く、現実に国内流行先駆けになった沖縄は立ち上がりから26日で減り始めました。  「ourworldindata.org」の「COVID-19 Data Explorer」で欧米主要国とBCG日本株接種国について「人口100万人あたり直近7日新規感染」グラフを作りました。縦軸が対数グラフになっているので、日本などと欧米では人口あたり感染数が10倍くらい違います。英国は少し減少傾向が見えたために「27日から公共施設でのマウス着用義務など規制を終了する」と発表しました。英国は感染頭打ちがはっきりしたフィリピンに比べると5倍くらいの新規感染発生がまだ続いています。

 日本国内の状況を見るために「10万人あたり沖縄・大阪・東京の直近7日新規感染」グラフを作りました。前のグラフが100万人あたりなので比べるなら縦軸の数値を10倍する必要があります。  沖縄のオミクロン株流行が東京や大阪よりずっと先行していました。1月18日にピークを記録しましたが、その1カ月前の12月18日には全く形跡なしです。12月23日あたりで辛うじて小さな増加が見えます。沖縄に倣うなら東京や大阪の立ち上がりは1月1日元旦あたりになります。減少へ転換がもう数日で見えてくるでしょう。

 何が起きているのか、ワシントンポスト紙の報道(英文)が示唆的です。《南アフリカの感染症のトップ科学者であるSalim Abdool Karimは、南アフリカの住民の70%以上が以前に非オミクロンコロナウイルス変異体に感染しており、その結果、オミクロンに対する保護が強化される可能性があると語った》

 守ってくれる未知の免疫力が存在しているとすれば、第658回「BCG特定株の接種国で新型コロナ深く沈静化」などで指摘している「毒にも薬にもなる」タイプのBCG特定株接種がもたらす免疫力賦活です。南アフリカの考え方をフィリピンにもサウジアラビアにも適用するのは不可能です。

【1/23追補】
 日経新聞の23日付「チャートは語る」《オミクロン、ピーク越えに1カ月 南アフリカやイギリス》はパリ、ニューヨーク、南ア・ハウテン州の事例を分析してグラフ化、『感染がピークを迎えて減少に転じるまでの期間が30日前後であることが分かった』としています。東京はブースター接種が欧米より不足してそうなるか分からないと保留を付けていますが、私がしたように、独立性が高い沖縄を分析すれば同様と知れます。しかし、欧米はもともとの新規感染レベルが高いからオミクロンピークが減少に転じても国全体のレベルが下がりません。