時評「ロシア軍は東部ルハンシク州を見限る可能性」

 【10/6追補】
 ウクライナ東部ドネツク州の要衝リマン市からロシア軍が撤退しました。発表は「包囲の脅威から撤退」ですが、リマンに陣取っていたロシア軍5000人から1日朝に撤退要請があったのに司令部は拒否していました。ウクライナ軍は「捕虜になるか死亡したかだ」と言っていますから、30万人予備役招集さなかに軍事上甚大な損害発生です。その司令部は1週間前に100キロ東のスタハーノフに移転し、司令官はその先の州都ルハンシクに逃げ、頑強に抵抗する姿勢を無くしていました。

 米国の戦争研究所は「プーチン大統領は、ウクライナ南部に占領地を保持することにこだわって、東部ルハンシク州防衛の優先順位を下げている」と分析しています。クリミア防衛のためにでしょう。「ヘルソン州とザポリージャ州でのロシアの陣地を強化し続けた」と指摘しています。ウクライナ4州併合宣言の威勢良さの裏側でこうです。予期せぬ撤退で現地司令官を責める声がロシア国内で上がっていますが、根本はプーチン大統領の判断です。  ウクライナ軍がハリコフ州に続いて、ルハンシク州も冬になる前に大半を奪還するチャンスが生じたように見えます。ヘルソン州でもドニエプル川北岸にいるロシア軍の補給路を断っていますから、ゆっくりではありますがじりじりと追い詰めています。リマン撤退と今後の行方を占う地図を戦争研究所から引用、加工して付けました。

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 【10/6追補】ルハンシク州に侵攻しての戦いが本格化しました。WSJの《ウクライナ軍、奪ったロシア製兵器でさらに攻勢〜露軍撤退後に置き去りにされた戦車・榴弾砲・弾薬など、反撃に利用》によるとロシア軍から奪った戦車421両、歩兵戦闘車445両、装甲戦闘車192両、多連装ロケット装置44であり、今回のルハンシク攻勢を支えています。ウクライナ軍への最大の武器供給者はロシア軍になっています。ソ連式ですからウクライナ側は訓練無しで使えます。ウクライナはロシアの3倍程度の兵力で攻撃しており、ロシア側はスパトボからクレミンナの線で防衛するつもりですが、持ちこたえられないでしょう。ロシアは30万の予備役招集中であり、いきなり最前線投入のケースも報告されていますが、訓練無しで戦力になるはずもありません。