医療崩壊と医師ブログ林立、勢いと隘路 [BM時評]
少なくとも3000万件以上はありそうな国内のブログで、最も不足感があるのは各方面の専門家ブログです。3000万という数字は、昨年4月にテクノラティ社が日本語ブログが世界で2600万はあるとはじき出したことがベースです。常識的には増加ペースが極端に落ちるとも思えず、1年後なので4000万に迫っても不思議ではありません。現状の専門家ブログの中で最も強力な一団を形成しているのが、医師ブログです。対抗するのが多分、弁護士ブログでしょう。ただ、弁護士ブログが実名中心なのに、医師ブログの有力なものは匿名です。
医師ブログには「m3.com」という強いバックボーン、職能サイトが存在しています。医師免許を持たないと加入できない医療サイトで、昨年9月末で15万4000人の会員医師がいるそうです。2004年の統計で医師数は27万人ですから過半数が参加している計算です。ここにある掲示板ではマスメディア側も見たい議論がされていると聞きます。
そこにある「Doctors Blog | 医師が発信するブログサイト」が医師ブログ発信拠点の筆頭です。月間アクセスランキング1位の「ななのつぶやき」や5位の「東京日和@元勤務医の日々」などがよく覗くブログです。それぞれ16万とか9万のアクセスがありますから、個人ブログからミディメディアに化けかけている段階です。産科の現場を淡々と、かつ迫真の緊張を感じさせて扱う「ななのつぶやき」は秀逸です。
医師ブログが林立するきっかけは、産科医療崩壊が現実のものとなったからでしょう。私の連載なら、2006年の「医療崩壊が産科から始まってしまった [ブログ時評59] 」や2007年の「安倍内閣は産科医療崩壊とは思わない [ブログ時評75]」、「お産の危機は首都圏にこそ迫っている [ブログ時評83]」などで伝えてきた危機に反応し、医師ブログ読者もどんどん増えていった印象です。
m3.comサイト以外でも「新小児科医のつぶやき」、「ある産婦人科医のひとりごと」、「産科医療のこれから」など多数が厚い支持を得ているようです。産科医療の崩壊を目の前にしたマスメディアの報道ぶりには、事実の誤認、医療知識の欠如が目立ちました。通常の「ご確認報道」「パターン報道」では通用しない「現実のむごさ」に、いま現在でも十分には気付いていないでしょう。ずばり「医療報道を斬る」とうたう医師ブログも現れました。
医療崩壊の正面に出てきた医師不足問題について、4月19日の毎日社説が「医師の団体は指導力を発揮して、医師不足・偏在対策に手を打ってもらいたい」と結んで、医師ブログを始めとした多数のブログから大ブーイングを浴びました。産科から医療全体に拡大しつつある医療危機に手軽な解決策を示せるはずがなく、私も新聞社内で「今は危機の事実を伝えるのが先。読者を安心させる解決策があるように見せるのは罪が深い」と言っています。毎日の論説レベルが各紙の中でそう悪いとは思いませんが、読者の皆さんの常識と違って、各紙論説委員の中に「もう取材することなど無い」と思い上がっていらっしゃる方が少なくないのです。取材するとしても霞ヶ関周辺ならという方はもっと多いでしょう。
ブログ側の問題としては、これほど林立し、読者を多数獲得している医師ブログを現実を変える力にすることです。医師ブログ側にあるマスコミ不信は強烈です。しかし、ブログの世界だけに止まって議論していて、行政まで変えられるはずがありません。メディアの力も借りてでも動かして行かねばならないことに早く気付いて欲しいと思っています。そして、その段階では匿名から実名に切り替わらねばなりません。私が扱っているオピニオンのページなど、新聞メディアで行政の無様さに対し真っ正面から発言をしていただくためには実名で登場してもらうしかないのです。今年がその転機にならなければ、いま医師ブログ最大関心事の、医療死亡事故の死因究明制度(現状では第3次試案)についても遅きに失する恐れを感じています。
医師ブログには「m3.com」という強いバックボーン、職能サイトが存在しています。医師免許を持たないと加入できない医療サイトで、昨年9月末で15万4000人の会員医師がいるそうです。2004年の統計で医師数は27万人ですから過半数が参加している計算です。ここにある掲示板ではマスメディア側も見たい議論がされていると聞きます。
そこにある「Doctors Blog | 医師が発信するブログサイト」が医師ブログ発信拠点の筆頭です。月間アクセスランキング1位の「ななのつぶやき」や5位の「東京日和@元勤務医の日々」などがよく覗くブログです。それぞれ16万とか9万のアクセスがありますから、個人ブログからミディメディアに化けかけている段階です。産科の現場を淡々と、かつ迫真の緊張を感じさせて扱う「ななのつぶやき」は秀逸です。
医師ブログが林立するきっかけは、産科医療崩壊が現実のものとなったからでしょう。私の連載なら、2006年の「医療崩壊が産科から始まってしまった [ブログ時評59] 」や2007年の「安倍内閣は産科医療崩壊とは思わない [ブログ時評75]」、「お産の危機は首都圏にこそ迫っている [ブログ時評83]」などで伝えてきた危機に反応し、医師ブログ読者もどんどん増えていった印象です。
m3.comサイト以外でも「新小児科医のつぶやき」、「ある産婦人科医のひとりごと」、「産科医療のこれから」など多数が厚い支持を得ているようです。産科医療の崩壊を目の前にしたマスメディアの報道ぶりには、事実の誤認、医療知識の欠如が目立ちました。通常の「ご確認報道」「パターン報道」では通用しない「現実のむごさ」に、いま現在でも十分には気付いていないでしょう。ずばり「医療報道を斬る」とうたう医師ブログも現れました。
医療崩壊の正面に出てきた医師不足問題について、4月19日の毎日社説が「医師の団体は指導力を発揮して、医師不足・偏在対策に手を打ってもらいたい」と結んで、医師ブログを始めとした多数のブログから大ブーイングを浴びました。産科から医療全体に拡大しつつある医療危機に手軽な解決策を示せるはずがなく、私も新聞社内で「今は危機の事実を伝えるのが先。読者を安心させる解決策があるように見せるのは罪が深い」と言っています。毎日の論説レベルが各紙の中でそう悪いとは思いませんが、読者の皆さんの常識と違って、各紙論説委員の中に「もう取材することなど無い」と思い上がっていらっしゃる方が少なくないのです。取材するとしても霞ヶ関周辺ならという方はもっと多いでしょう。
ブログ側の問題としては、これほど林立し、読者を多数獲得している医師ブログを現実を変える力にすることです。医師ブログ側にあるマスコミ不信は強烈です。しかし、ブログの世界だけに止まって議論していて、行政まで変えられるはずがありません。メディアの力も借りてでも動かして行かねばならないことに早く気付いて欲しいと思っています。そして、その段階では匿名から実名に切り替わらねばなりません。私が扱っているオピニオンのページなど、新聞メディアで行政の無様さに対し真っ正面から発言をしていただくためには実名で登場してもらうしかないのです。今年がその転機にならなければ、いま医師ブログ最大関心事の、医療死亡事故の死因究明制度(現状では第3次試案)についても遅きに失する恐れを感じています。