第185回「音楽不況に追い打ち、ネット配信もダウン」

 「オリコンシングルチャート、20位が史上初の3000枚割れ…59位からは売上1000枚に満たず」(The Natsu Style)がネット上で話題になっています。ミリオンセラーが当たり前だった1990年代に比べて、あまりに寂しいCD売り上げ減への感慨ですが、気になって調べるとCDに取って代わるはずの有料ネット配信も今年になって落ち始めていました。CDの売れ行き不振は加速していますし、世界不況が個人の懐具合まで締め付けて、音楽不況に追い打ちを掛けているとみるべきでしょう。  上のグラフは日本レコード協会の「過去10年間の生産実績・オーディオレコード総生産金額」からの引用です。これは音楽ビデオまで含む音楽ソフト全体を表しています。1999年の5695億円から2008年の2961億円まで本当に転げ落ちています。「音楽ソフト種類別生産金額の推移」も参照すると、ピークだったのは1998年の6074億円ですから、2008年は半分以下になっているのです。

 転落の勢いは今年になってさらに加速しています。2009年1〜8月の音楽ソフト生産は前年同期比で84%しかありません。2008年は2007年比で89%でしたから、一段と縮小が進んでいます。音楽ソフトをCDなどかさばる物で持つのは古い、ダウンロードしてパソコンや携帯用の機器に入れるのが最近のスタイルです。その有料音楽配信の動きを「有料音楽配信売上実績」から以下にまとめました。  音楽ソフトの生産額に比べ桁がひとつ下、年間900億円程度にもかかわらず、今年に入って頭打ちしてしまいました。数量ベースで減少が現れたのが2008年7〜9月期であることを見ても、リーマン・ショックから続く世界不況の影を読みとれます。夏のボーナスが大幅に減っていることを考えても、年内に上向くことはないでしょう。

 【過去の参照記事】
2002年……第127回「音楽産業は自滅の道を転がる」
2005年……「アップル配信で音楽業界の目は醒めるか [ブログ時評31]」