第227回「『尖閣ビデオ』の注目度、日本シリーズの8倍」

 5日未明に突然、ユーチューブにアップロードされた「尖閣ビデオ」を巡る議論は国会もメディアも混沌として焦点が定まらず、拡散気味です。そちらの議論に参戦するつもりはありませんが、ネットウオッチしている立場からは社会の衝撃度観測に関心があり、今回の出来事を大衆がどれほど感じたのか、ツイッターの頻度グラフが見事に記録してくれたので報告しておきます。最後に劇的に盛り上がったプロ野球日本シリーズ第7戦に比べると、注目度8倍だったとして善いでしょう。

   【訂正】はてなブックマークで《「日本シリーズ OR 中日 OR ロッテ」で
  2800を超える》と検索結果への異議がありました。11日に再度検索した
  のですが、24時間以上前のデータが失われているようで、確認できません。
  その通りなら、日本シリーズのtweetは4倍にはなるでしょうから、
  「注目度、日本シリーズの2倍」とすべきかと思います。

 Twitterの周辺にある「buzztter(バズッター)」サイトを利用すると、ツイッターでささやかれたキーワードごとに集計してグラフを作ってくれます。140文字の制限があるツイッターでは「尖閣ビデオ」が必ずしも言われる訳ではなく、色々と試行してみると「尖閣ビデオ OR 流出 OR 海保」の組み合わせがベターでした。これでピーク時が1143件です。一方、「日本シリーズ」のピーク時は614件です。以下に8日正午現在で作成のグラフ(右端が8日正午)を並べます。


 グラフをなぞることでTweet回数を推計しています。「尖閣ビデオ等」は夜中に急激に立ち上がった後、一時落ち込み、夜が明けてから再び盛んになります。グラフは1時間に1つの点と考えられるので、7日未明までの45時間で区切ると合計が10262件になります。「日本シリーズ」は低調でしたが、第6戦の史上希な壮絶な引き分け試合で一気に盛り上がったのがツイッターでもはっきり分かります。視聴率20.3%を叩き出した最終の第7戦について、10時間で区切って集計すると合計が1324件です。比は7.75倍になります。ただし、グラフの刻みが30分間隔かもしれず、その場合はTweet回数合計は両者ともに2倍になります。

 出来事への大衆的な関心度を見る指標にブログのエントリー件数推移を使う試みを、第154回「世論の形成をブログの頻度から観察」第167回「ブログ記事数グラフで見る米大統領選」などで続けてきました。しかし、便利だったテクノラティ社が撤退してしまい、現在はグーグル・ブログ検索で日付を指定してカウントしていくしかありません。ところが、11月に入ってからはグーグル・ブログ検索「尖閣ビデオ」で、
 1日 4770件
 2日 4167件
 3日 3603件
 4日 3307件
 5日 7507件
 6日 7250件
 7日 7014件
 8日 7628件
 9日 4427件(16時現在まで)
となっており、国会で限定的にビデオを視聴した段階から盛り上がっていましたから、5日未明のビデオのゲリラ的公開がどれほどの衝撃だったか見えないのです。

 今回のようにツイッター集計で社会的な注目度、衝撃度を評価できるのなら、今後にも応用が利きそうです。なお、測定のツールとしてはフリーソフトの《!0_0! Excel 「長さ・面積測定」》を使わせていただきました。