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第410回「警報の効き目無い中国大気汚染、25日から日本覆う」 (2014/02/23)

(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 重篤スモッグが連日になっている北京市は21日、上から2番目に重いオレンジ警報を発動しました。車両ナンバーの偶数奇数で半数を強制停止する赤色警報を残していますが、緊急措置の大気汚染改善は明確でありません。赤色警報にならなかった理由は24日に冷たい空気が入って一息つける見込みがあり、3日間連続で最悪の「厳重汚染」にならないためだそうです。しかし、この空気移動で25日から日本全国が濃厚になったPM2.5スモッグに覆われそうなのですから迷惑な話です。日本のSPRINTARSチームによる25日21時の微粒子大気汚染予測図を掲げます。


 連日スモッグの原因は高気圧に覆われる中で上空1000メートル付近に空気の逆転層が出来て、対流による拡散が阻まれている要因が大きいようです。警報発動による主な対策は▼公共交通機関の輸送力を増やしてクルマからの転換を促す▼交通規制とアイドリングの停止▼道路の清掃やスプリンクラーでの水散布を大幅に増やす▼花火や野焼きを禁止、屋台の焼き肉店も閉めさせる▼北京市内のセメントや鉄鋼化学など111企業で生産停止や大幅削減――が排出源側です。市民側には学校での屋外活動停止や、外で運動しないよう呼びかけがされています。

 では室内なら安全か、法制晩報の記者が屋外でPM2.5が大気1立方メートル当たり330マイクログラムあった海淀区で、スポーツジムを訪ねて室内のPM2.5濃度を測っています。ビルの4階、20人以上が運動していた場所で91マイクログラムでした。中国の環境基準に照らしてもアウトですし、日本なら論外です。専門家が「運動不足があるとしても激しい運動は避けるべき」とコメントとしています。


 警報に青・黄・橙・赤の4段階とは第409回「中国大気汚染の緊急措置、無為・ずさんが露呈中」で紹介しました。「橙(だいだい)」になじみが薄くなっているので英語式にオレンジとしました。中旬のスモッグでは初歩的な青色警報しか出さずメディアから大ブーイングを浴びました。今回は黄色警報にして、直後にオレンジ警報まで格上げしたのですが、上に掲げた「北京AQI図」のように22日土曜夜まで「厳重汚染」(大気質指数AQI300以上:PM2.5なら250マイクログラム以上)が続いています。赤色警報でクルマの半分を止める「劇薬」がどれほど効くか試しておくべき好機だったでしょう。半分運行停止は2008年の北京五輪期間を乗り切った伝説の奥の手ながら、中国の車両台数が当時の2.5倍にも膨らんでいます。第398回「中国政府も深刻大気汚染の底知れ無さに目覚める」を参照してください。

 日本へのPM2.5スモッグ飛来は昨夏の第373回「中国大気汚染が高濃度で関東から西日本を覆う」で書いています。11月の「西日本各地でPM2.5による重汚染の異常事態」にある日中の重汚染継続も現実に起きていて、早朝・午前中のPM2.5濃度動向で判断する環境省の対応で手ぬるいことは明らかです。今回のスモッグはかなりの濃度のままで25、26日の2日間居座りそうです。期間中に雨があれば消えるのですが、期待できません。

 【参照】インターネットで読み解く!
     「『中国は終わった』とメディアはなぜ言わない」
     第401回「中国大気汚染の実態:二次合成と工場が2大源」

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