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《美味しんぼ》騒ぎの本質は福島県への不信任 [BM時評] (2014/05/12)

(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 小学館発行の漫画「美味しんぼ」にある鼻血描写などに福島県が風評被害助長と抗議しました。漫画の行き過ぎ感にメディアは同調しますが、事態の本質は過去3年間、福島県の放射線への取り組みに対する不信任です。この3月まで県は「10マイクロシーベルト/hを超さなければ健康に影響を及ぼさない」との主張をホームページに掲げ続けていたのです。このような放射線被曝に極度に無神経な行政に信頼できる健康調査が出来るのか――市民側の不信感が結果として漫画に反映されたと理解するべきです。環境省も「事故では、鼻血や疲労感に一定の影響が出るほど被曝した人はいないと県の調査で分かっている」と擁護しますが、漫画の主張はその根幹への疑問です。

 3年前、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーだった山下俊一氏が講演で「100マイクロシーベルト/hを超さなければ、全く健康に影響及ぼしません。ですから、もう、5とか、10とか、20とかいうレベルで外に出ていいかどうかということは明確です」と語りました(第278回「説明責任を果たさない政府・東電・メディア」参照)。あまりに乱暴にすぎたので、後始末として《質疑応答の「100マイクロシーベルト/hを超さなければ健康に影響を及ぼさない」旨の発言は、「10マイクロシーベルト/hを超さなければ」の誤りであり、訂正し、お詫びを申し上げます。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありません》との訂正になっています。


 《トップページ(Home) > 組織別 > 知事直轄 > 広報課 > 東日本大震災関連情報 > 原子力災害情報 > 福島県放射線健康リスク管理アドバイザーによる講演会》にある画面で、県はこの3月末にこっそり削除しましたが、米インターネットアーカイブに保存されているものを証拠として出しました。今年2月13日にロボットが収集しています。福島原発事故発生直後から福島県が被曝影響にどのような予断を持っていたのか明確に示しています。3年間、修正もされずに生きていました。

 この文脈なら抗議に対する週刊ビッグコミックスピリッツ編集部の釈明「事故直後に盛んになされた低線量放射線の影響についての検証や、現地の様々な声を伝える機会が大きく減っている中、行政や報道のありかたについて、議論をいま一度深める一助となることを願って作者が採用したものであり、編集部もこれを重視して掲載させていただきました」は理解しやすいでしょう。

 【参照】インターネットで読み解く!「福島原発事故」関連エントリー
     第381回「福島原発事故、国家として原因不詳でよいのか」
     『福島原発事故の無為で告発さるべきはマスメディア』

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