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第464回「セウォル号救助失敗に国家の罪を認める判決」 (2015/02/12)

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(「BM時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 300人を超える犠牲者を出した韓国・セウォル号沈没事故で海洋警察の救助艇長に懲役4年の実刑判決が出されました。一線の国家公務員に大きな過失があったと認定、政府は民事上の損害賠償も迫られる見込みです。現場に到着しながら乗客の退船を誘導しない業務上過失致死と、していない退船放送を実施と艦艇日誌を改ざんした虚偽公文書作成の罪です。漫然としている救助艇員が写っている当時の現場写真(朝鮮日報掲載)を以下に引用します。


 4年の実刑判決が妥当かは議論があるところでしょう。乗客に退船指示をしないで逃げ出した船長には36年の懲役、幹部船員に15〜30年、運航担当船員に5〜10年の実刑判決が出されています。中央日報は、船員たちより艇長の過失が重いとは言えないとの量刑判断があったと伝えています。

 しかし、昨年9月の第447回「セウォル号沈没での不作為なければ全員助かった」で法廷で防災の専門家が乗客は全員脱出可能だったと証言していると伝えました。上の写真にある状態からしばらく経過して、左手に見える操舵室から船員が飛び出して来ますが、その時点でも退船指示を実施していれば10分以内に乗客は全員が抜け出せたというのです。

 写真で唯一甲板に上がっている救助艇員(破線の円内)は救命ボートが作動するか確認に行っていますが、ペンキの重ね塗りで開きません。救助艇の舳先では艇員4人が思案投げ首の風です。日本の海上保安官に当たる海難救助の第一線として、これほど船体が傾いたら直ちに乗船して乗客は甲板に出よと呼びかけるのが当然と考えられます。船員に事情を聴いている段階ではなく、海難専門家として動くべきなのは明白です。

 ハンギョレ新聞の《光州地裁「123警備艇長が退船を誘導していれば56人は脱出できた」》が裁判所側の微妙な判断ぶりを報じています。《裁判所はキム前艇長の業務上過失と被害者たちの死亡の間の因果関係を部分的にのみ認めた》《裁判所は123艇が退船命令と退船誘導措置を行った場合、「セウォル号4階船尾の3個の船室にいた乗客56人は脱出できた」と見た。 光州地方裁判所関係者は「残りの乗客は当時退船放送が聞こえなかったり、たとえ退船放送が聞こえたとしても脱出が容易でない状況だったと見た」と説明した》

 救助艇長への業務上過失致死罪適用に当初は法務省が反対した経緯も伝えていて、国家賠償につながると嫌がったといいます。救助可能性を極めて限定した裁判所判断もこれに連動しているかも知れません。司法の独立性が疑われている韓国らしい、お寒い内情に見えます。『奇怪な韓国の闇、民衆は達観する「愚政府・愚役人」』で国家としていかがなものかと思える周辺事情を追及しています。


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