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流行のハイレゾ再生、ソフト選択で音質劣化に [BM時評] (2016/03/05)

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(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 通常可聴範囲を超えた高音域まで再生して臨場感が評判のハイレゾ再生で落とし穴を発見したので報告します。ウインドウズPCで最も使われている再生フリーソフト「foobar2000」では音質劣化が発生しているのです。気付かぬままにこの1年間、使ってきましたが、ソフト側で何の加工もせずに再生するソフトと比べて「くすみ感・にじみ感の付加」や「音場感の狭まり」が観察できました。認識できれば音楽の興を大きく削ぐレベルと言え、使っている方はご一考あるべきです。

 これまでウインドウズパソコンでの音楽再生は、基本ソフトOSに含まれるミキサー部分が音質に気を使わない設計になっていたのが欠点でした。音源ファイルが上質のデジタルデータでも、アナログ音に変え出力する時に汚していました。しかし、Windows Vistaから導入されたWASAPI(Windows Audio Session API:ワサピ)を使う設定にして音の経路を独立させれば、OSに余分な手出しをさせない改善になり問題は解決したと思われていました。


 私がハイレゾ再生に使っているのは上の写真にある、パイオニアのDA変換ヘッドフォンアンプ「U-05」と独ゼンハイザーの最高級ヘッドフォン「HD800」です。購入のハイレゾファイル再生は、ほぼ1年間、プレイリストの管理などが便利なfoobar2000に頼り切っていました。一方、普通のCDからの音楽ファイル再生は以前から使っているフリーソフト「MPC-HC」が中心でした。

 ハイレゾ再生も出来ると知っていたMPC-HCを正月休みにハイレゾ向けにも使い、foobar2000と比較して驚きました。HD800はヘッドフォンとしては異例に広大な音場感が売り物ですが、foobar2000による再生では左右1割ずつ狭くなった印象なのです。音の鮮明度もMPC-HCでの再生に比べて下がっています。くすみ感・にじみ感が少し付いた感じがあり、ジャズのシンバルワークや金管音などの先鋭さがマスクされます。これではハイレゾ向けに買った機器が泣きます。

 時間を掛けて調べていくとfoobar2000の「Preferences:Output」には「WASAPI(event)」「WASAPI(push)」と二つのモードがあり、選択できます。当初は「WASAPI(event)」だったのを「WASAPI(push)」に変更すると、私のパソコンでは音質が改善されて、例えば音場の狭まり方が片側10%減から5%減少になる感じです。「event」と「push」はデータの受け渡し主導権をOS側が持つのか、ソフト側が持つのかの違いと考えれば良いようです。いずれにしてもfoobar2000はデータに何らかの加工をしてワサピに引き渡しています。

 これに対してMPC-HCは無加工でワサピに投げてしまうようです。『パソコンで音楽ならハイレゾよりまずワサピを』で解説してある「MPC-HC Audio Renderer」を出力に設定すると、選択の余地なくワサピが働き出します。音場感が自然で音が伸びやかです。絶対的な音質の良さがあります。

 HD800以外に手元にあるAKG「K712Pro」と古いヘッドフォンのグラド「SR60」でも試しました。音場の広さはHD800ほど広がらないものの「MPC-HC>foobar2000(push)>foobar2000(event)」の音質序列は同じでした。例えば『天上のオルガン』でパイプオルガンの響きがMPC-HCでは眼前から頭上空間全体を覆うのに、foobar2000(event)では箱庭的に縮む感じは、どのヘッドフォンでも分かります。昨年の第460回「ハイレゾ普及が日本人のオーディオ魂に再点火」でも書いたようにSR60は古くて安い機種ながらハイレゾの音が出ますが、今回見つけた音の差はもっと基幹部分に関わるものです。

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