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大統領弾劾、韓国メディアは権力監視失敗に責任を [BM時評] (2016/12/15)

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(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 朴槿恵(パク・クネ)大統領と崔順実(チェ・スンシル)友人による国政壟断で弾劾が発動されました。しかし、報じる韓国メディアの他人事ぶりに目を覆いたくなります。権力監視に失敗したメディアの責任こそ問われるべきです。報道に《チェ・スンシルがこの国の大統領だった》《秘書室長にも会わずに政権を運営していた朴大統領》と恐るべき見出しが掲げられていますが、この4年、大統領を身近で取材して何も見えなかった、嗅ぎつけられなかった、おのれの不明を恥じる姿勢がありません。セウォル号事故をめぐって『沈没報道の韓国メディア、海洋警察の劣悪さ無視』[BM時評] で批判したのが想起されます。韓国メディアには大きな欠陥がありそうです。

 ハンギョレ新聞の《チェ・スンシルがこの国の大統領だった》は《2014年チョン・ユンフェ文書流出事件当時、パク・グヮンチョン元警正は検察で「我が国の権力序列はチェ・スンシルが1位、チョン・ユンフェが2位、朴大統領は3位に過ぎない」と供述した。検察関係者は「(少なくとも)チェ氏が1位というのは当たっている」として、「チェ氏が事実上の大統領だった。国家を運営していた」とまで話した》と伝えました。過去に感じ取るべき兆候はあったのに自らは何もしなかったと告白しているだけです。

 朝鮮日報の《【社説】秘書室長にも会わずに政権を運営していた朴大統領》の憤慨も虚しい気がします。

 《金淇春(キム・ギチュン)元大統領秘書室長は7日に行われた国会での聴聞会(証人喚問)で、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領への業務報告について「必要なときは週に2回やっていた。週に1回も顔を見ないこともあった」と証言した》《国民が抱く大統領の1日の生活のイメージは、朝一番は本館の執務室で秘書室長から報告を受けて始まるというものではないだろうか。朴大統領以外の全ての大統領は実際にそうしてきた。9年3カ月にわたり故・朴正熙(パク・チョンヒ)大統領の秘書室長を務めた金正濂(キム・ジョンリョム)氏によると、在任中は毎朝金氏が主席秘書官会議を開催し、朴正熙大統領が登庁するとその内容を直ちに口頭で報告していたという。ところが今の朴大統領在任中にこの常識は覆されたのだ》

 政治の中枢から遠い庶民が嘆くなら理解出来ます。市民社会で権力監視を任務にしている大手メディアが嘆くなら「愚か者」と呼ぶしかありません。私も元新聞記者として、政権がどう運営されているのか、関心を持たなかったのか、問いただしたくなります。細部への関心から重大な問題が掘り起こされることがしばしばあるのです。

 韓国の国民には他人に法を守れと要求しても自分の行動は勝手とする傾向があると指摘したのが第477回「安全になれぬ韓国、手抜き勝手の国民意識が原因」 でした。大統領弾劾を「名誉革命」とか「市民革命」とか韓国では盛り上がっていますが、海外メディアで同調して評価するところはありません。歴代の大統領周辺で繰り返される腐敗を根絶するには、国民もメディアも法治国家として整然と自らの務めを果たす当たり前の状態にならねばなりません。

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