第646回「モバイルもCD音質鑑賞、わずか数千円で可能」

 新型コロナ騒ぎで出歩けなくなった昨年末からモバイル音楽鑑賞を見直した結果、大飛躍が生まれました。常に持ち歩いているタブレットにCD600枚分を収納、散歩途中でも出先の街角でも自宅と変わらない高音質で楽しめるようになりました。さらに200枚ほど追加する作業も始めています。種明かしすれば大容量マイクロSDカードが驚くほど安くなったからです。加えてイヤホンのイヤーピースに優れモノを見つけ、耳障りな音が無くなり透明感が激的に増しました。両方でかかる費用は数千円のレベルです。

 6年前に廃止になったソニーの音楽配信「Music Unlimited」に加入しており、この数年はそれに見合う音質のMP3ファイルを大量にタブレットに入れてきました。MP3なら元のCDの10分の1ほどに圧縮でき、マイクロSDカードは高くてそれほど大容量でもなかったのです。  いきさつからお話しします。上は昨年、クラウドファンディングで購入したDACイヤホンアンプをタブレットに装着した写真です。単に電力増幅するだけでなく、MP3のような圧縮ファイルを元の音質に疑似的に高音質化する機能に惹かれました。聴いた結果はまずまず良かったのですが、圧縮前のCDも所有していますから聴き比べると違いは明かでした。それから音楽再生アプリを調べ直したあげくに、パソコンに取り込んでいるCD600枚オリジナルのファイルが160GBしかない点に気付きました。「WMA Lossless」という可逆圧縮ファイルで保存しており、これだと音質劣化なしにCDそのものの半分くらいの容量に減らせます。「FLAC」など他の音楽用可逆圧縮も同様です。

 マイクロSDは1TBの製品まで出てきました。しかし、大容量カードは高価なうえに不安定なようです。512GBも少し不安、256GBは大丈夫そうです。アマゾンで3200円で買った256GBカードはCD600枚分を飲み込んでさらに余裕があります。動作も安定しています。

 2018年に書いた第596回「モバイル音楽アプリが劇的進化、皆なぜ知らない」では知られていなかったパソコンアプリ「foobar2000」のモバイル版があって助かりました。「WMA Lossless」や他の音楽ファイルも幅広く再生でき、しかも圧縮ファイル向けに味付けしがちなモバイル音楽アプリと違い、フラットな再生音です。操作性も良好です。

 イヤーピース優れモノはJVCの「スパイラルドット++」です。アマゾンで4個入り2436円で買えます。シリコン製の小さなゴムの内側に微細な窪みが多数あけてあり耳道での反響を消してくれます。「イヨマンテの夜」で知られる声量豊かな昭和のテノール伊藤久男さんの声が割れ鐘のように響くのが気になっていました。大型のヘッドフォンと違う限界かなと思ってきましたが、このイヤーピースはふれ込み通りの効果を発揮します。オーケストラの金管楽器が強く咆哮するときに、ざわついていたのも消えました。

 第623回「タブレット用イヤフォン決定版、1万円余で万能」で紹介した独ゼンハイザー「IE40 PRO」と、期間限定大幅値下げ中の「CX 400BT True Wireless」にイヤーピースを乗せ換えて楽しんでいます。「IE40 PRO」は音一つずつを確かめるモニター用途に十分ですし、「CX 400BT」は随分な美音がさらに良くなりました。パソコンの前なら「HD800」のバランス駆動でハイレゾもいいですが、やはり不自由です。リビングその他へ気軽に持ち運べる本物の高音質を手に入れて大満足です。タブレットでなくてスマートフォンでも同じです。