第197回「続・失敗国家ランクと紙消費量のぴたり」

 カリブ海のハイチで大きな震災があったと思ったら、アジアではアフガニスタンで反政府勢力タリバンによる同時多発テロが発生しました。両国共にいわゆる失敗国家ランクの上位を占める国で、不幸な印象が強まりました。ちょうど2年前に第156回「失敗国家ランクと紙消費量のぴたり」を書いて、その後も読まれ続けています。この機会に関連データをアップデートしておきます。

 ランキングは2009年版になっています。「Failed States Index 2009」がオリジナルです。社会、経済、政治の12指標で評価して合算、割り出されたものです。2年前は各国の1人当たり紙消費量との相関関係を主題にしていたので、紙消費量データがある2005年で比較しました。紙消費量データの方が更新されていないので、失敗国家ランクだけワースト20を並べて比較しましょう。  警告レベルの国は2005では32カ国だったのに、2009には38カ国に増えていますから、このリストの倍近いことになります。このリスト中で核兵器を実戦配備しているパキスタンが指標値も順位も上げていることがとても気になります。 上位20カ国で4年間にほとんど出入りがないのが特徴的です。

 2009ランクで最悪になっているソマリアの2005紙消費量は年間1人当たり30グラムですから、当然とも思えます。アフガニスタンの20グラムと並んで多くの子供たちにノートの1冊が渡らない、極度に劣悪な水準です。

 先進国では年間1人当たり200キログラムを超えるのが普通です。「製紙産業の現状 | 世界の中の日本」によると、2008年に日本は241.5キロでした。2008年は中国が59.1キロと、世界平均57.8キロを初めて突破した年でもあります。2005年には44.66キロでしたから、この巨大人口国が毎年1人5キロずつ増やしていることになります。紙資源は森林などからの新規分と再生古紙が半々という感じです。紙資源の限界が早晩現れるでしょう。

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  1997…インターネットで読み解く!第4回「紙資源・千倍の落差」