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ノーベル物理学賞でも理系冷遇社会は変わらずか [BM時評] (2014/10/07)

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(「Blog vs. Media 時評」に同文掲載。コメントなどはそちらに)

 日本人3人に与えられた今回のノーベル物理学賞。学究派メンバーと色違いな中村修二・カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の青色LED特許訴訟を振り返ると、理系冷遇社会の枠は本質的に変わりそうもありません。中村さんは日亜化学工業(徳島県阿南市)で青色LEDを製品化しながら、国際的な研究者仲間から「会社の奴隷」と言われたほど冷遇だったため特許訴訟を起こしましたが、政府は企業で開発された特許の権利を研究者個人から企業に移す方向に動いています。

 2005年の『青色LED和解で理系冷遇は変わるか』で特許訴訟が「発明対価を8億4千万円として和解」になった経過を描いています。中村さんの訴訟戦略に誤りがあり、前年2004年の第143回「巨額な発明対価判決が映すもの」で発明対価200億円の判決を得たのと比べるとささやかな金額に落ち着いてしまい、発明対価にある種の相場感が形成されていると指摘しました。人事院調査でも技術研究管理職の給与は事務系の部長や支店長に比べて見劣りしています。生涯賃金も大差がつくでしょう。発明対価はたまにしか得られぬ成功への報酬として高額でもおかしくはないのです。

 ところが、政府は第444回「安倍政権は科学技術立国を破壊:企業特許に大学」で紹介したように企業の特許にする方針です。見返り報酬の規定を設けると言うものの、それが裁判で争われたレベルに達するはずもありません。中村さんは、同時受賞の赤崎勇名城大教授や天野浩名古屋大教授のようなアカデミックな研究者とは違う小さな企業の研究環境にいました。ノーベル物理学賞の受賞が企業研究者を力づけるようになって欲しいものですが、現実は発明へのインセンティブが貧しくなるとしか見えません。

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