第656回「日本的集団免疫が達成、迷惑かけぬ国民性で」

(in English)
 連日2万人以上の新型コロナ感染者が出ていたのに1カ月で千数百のレベルまで落ちました――どうしてか判然としないとマスメディアで言われますが、《日本的集団免疫の達成》と解釈すれば納得できます。ワクチン完全接種4割到達で感染増が頭打ち、5割で収束へ一気に向かい、6割に至った現在は「感染散発のステージ1」が見えてきました。このパターンは全国の状況だけでなく都道府県別に検証してもほとんど同じです。一部の不心得者がニュースになりがちながら、日本人の均一性は驚くべきものです。NHKのサイトから作った全国グラフを以下に掲げます。  全国的には8月23日ごろに完全接種4割に、5割は9月9日ごろです。曜日による凸凹を消した直近7日平均の折れ線グラフを見てください。完全接種4割で感染増加傾向にブレーキが掛かり、完全接種5割が駄目押しになっています。集団免疫の考え方はワクチン接種者が集団の中で「盾」になり、未接種者へのウイルス到達を防ぐ仕組みです。他人に迷惑をかけることを嫌う育て方をされた日本の国民性は、マスク着用など他人に配慮する行動を当然とします。ワクチンを接種したからと自分勝手な行動に出ることには抵抗があります。こうした迷惑かけぬ国民性は集団へのウイルス侵入を減らします。ワクチンの「盾」がどんどん増える中で日本人では比較的少ない「盾」でも効果的になったと考えるべきです。

 諸外国と比べてワクチン完全接種率の推移が新規感染にどう影響したか、札幌医大のサイトでグラフを作成したので見てください。メッセンジャーRNAワクチンを主に使っている欧米中心にした諸国との比較です。効かない中国製ワクチンを使った国はメッセンジャーRNAワクチンを追加購入しているので接種率との関係が滅茶苦茶です。  大勢として完全接種率40%台はむしろ感染増加が著しいのです。50%台では国により出入りがあり、本格的な改善は60%台に入ってからです。接種率先頭を走るポルトガル、感染減少で先んじるスペイン、イタリアやスウェーデン、フランス、ドイツも「ステージ3」段階へと一斉に感染を減らしています。完全に日常生活に戻したデンマークもその仲間ですが、まだ「ステージ4」です。接種率40%を過ぎたところで早くも感染減少に転じた日本は異例中の異例です。

 ワクチン完全接種が増える中で個人主義性向が強い国は接種済み者のわがままを抑えられません。日本と比べて40%台の各国感染増加はそれを表していると考えます。お隣の韓国は50%付近であり、日本と違って感染急増です。2015年に書いた第477回「安全になれぬ韓国、手抜き勝手の国民意識が原因」に意識構造を記した部分があります。

 9月17日に書いて好評だった第654回「第5波収束原動力はワクチン完全接種急増」の分布グラフがその後どうなったか、続編のグラフを作りました。  9月12日と27日と比べて都府県の感染好転ぶりを示しました。全国の接種率はこの間に51%から58%に増えました。大人口の都府県を中心に直線で結ぶと、接種率増加で改善していく傾向は同じと知れます。沖縄と大阪がやや遅れていますが、今後も流れは変わらないでしょう。人口10万人あたり新規感染が一桁に到達している県が多く、これは極めて安定した状態です。今後、児童へのワクチン接種に進んで万全な備えをし、冬のインフルエンザシーズンを乗り切りたいものです。