特集「在りし日の彦根城カスケード桜の記憶」

 城の深いお堀斜面を段々重ねのサクラが覆いつくす美しい光景があります。お気に入りは東は東京・千鳥ヶ淵、西は国宝・彦根城だったのですが、どちらも近年、美しさが損なわれて来ました。特に彦根城は2018年9月の台風21号で半分以上のサクラが倒れる痛ましさです。ユーチューブで千鳥ヶ淵の現状を見ると、6年前の写真に比べてサクラの枝密度は下がり、枝が多数垂れ下がって堀の水面にも届く勢いは無くなりつつあります。滋賀県彦根城には2015年と2018年に撮影に行っており、お堀斜面カスケード桜の記憶を残すべく編集してみました。

 2015年4月4日の撮影分から4枚。彦根城は徳川幕府が西国大名を抑える最重要拠点でしたから、石垣や堀の造りも半端ではありません。台風前に存在した白く輝く桜の壁は比類ない美しさでした。接近して観察すると、何層にも桜が植えられています。その結果、滝のようなカスケードになります。
 2018年は4月3日の薄暮、ライトアップ撮影4枚で、本来は真っ白な桜がほんのり色付きます。また、昼間は太陽光で照らされなかった影部分のサクラも照明されるのでボリュームアップして見えます。石垣の角になっている場所は一段、高い所から下へ桜が植えられているので、カスケード感が強く出ます。  最後の1枚は白く輝く国宝の天守閣に向かって、桜が雪崩れ落ちている趣きで豪放です。2019年に再訪し、このカスケード光景が失われたの見て残念でした。


 【2016年からの写真特集ページ】Photo-collectionページ開設
 新聞記者としてもカメラは得意で、主に春と秋に京都や周辺地域に撮影行脚に出てサクラやモミジなどの写真集を公開しています。硬派の評論ウェブなので埋もれていますが、10件とまとまってきたので見易いように案内ページを作りました。(2023/03/16)

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