第690回「中国を自由選挙の社会へ、夢ながらも表面化」
速報で「中国GDPが2024年5%成長達成」と流れても、民間ばかりか公務員や教員、病院でも給与遅配が大量発生の中国に全く不釣り合いです。昨年末に「習近平は独裁者の地位失い、共産党は集団指導に」とお伝えし、2027年に開く次の党大会で習近平に詰め腹と見込まれますが、ここ2年も無為の時間をすごす余裕があるのか疑問でもあります。毛沢東の大躍進政策が失敗して2代目の国家主席になり文化大革命で悲劇の死を遂げた劉少奇、その息子劉源上将が「このままでは党も国家も滅ぶ」と悲痛な叫びをあげ、体制転換を求める上申書を出しています。共産党内部かららしい12/16付漏洩文書も習近平に28の罪状をあげて断罪、即時辞任を迫っており、最後に「民主共和新社会」を求めています。
ユーチューブの《精鋭論壇: 2代目国家主席劉少奇の息子である劉源が、最近中央に書簡を送り、国家の方向性の変更を求めたとのことです》から画面を引用します。オーストラリア在住の袁教授の解説で、劉源上将が市場経済の原則に反した政策が現在の困難な経済状況を引き起こし、もし1950年代後半のように数千万人の餓死者を出すことにでもなれば共産党への支持はもう期待できないと考えていると伝えています。3項目の提案は(1)真の改革開放路線への復帰(2)ケ小平の控え目な外交姿勢に戻って世界で友人を取り戻す(3)共産党を段階的に秩序立てて社会民主党に転換する、です。これは複数政党制、自由選挙を意味します。
国家主席だった劉少奇家の質素ぶりが《劉少奇の息子、劉源:副省長から人民解放軍上将へ》(中国語)で語られています。アフガニスタン国王夫妻が訪中して国家主席夫妻として会った際に、王妃から「あなたの子供たちに会いたい、一緒に食事をしたい」と提案されて断れず、ふだんから継ぎ接ぎの服しか着ていなかったので恥ずかしくない服が見つからず大騒ぎになったそうです。
しかし、党内で毛沢東に劣らぬ力を蓄えた劉少奇は文化大革命で「走資派の頭目」として迫害され、最後は河南省の病院でベッドに縛り付けられて亡くなりました。1980年に名誉回復されて妻の王光美さんと子供たちがは劉少奇の遺骨を迎える様子を、《劉少奇の息子、劉源:副省長から人民解放軍上将へ》(5)(中国語)がこう描いています(グーグル翻訳による)。
《劉少奇が拘留されていた部屋には、今も当時のままの家具が置かれている。王光美さんと子供たちは、部屋の様子と劉少奇さんが最後に使った簡単な道具を見たとき、あまりの感動に、興奮を抑えきれずに泣き出しました。子供たちは劉少奇が使っていた枕を抱きしめてベッドに身を投げ出し、「お父さん、お父さん!」と叫び、王光美さんは心の中の悲しみと怒りを抑え、「子供たち、強くなれ!」と大声で慰めた》《劉源さんは、父親の骨壺を手にしたとき、重く感じた、その瞬間に自分の使命を感じ、父親との会話の中で魂が昇華されたのを感じた、と語った》
党中央に上申した社会民主党への転換は、劉源上将の持論として知られていると言います。
習近平に対する28の罪状断罪文書は中国語で発信を続けている蔡慎坤さんが「X」に載せています。「昨日メールを受け取りましたが、文体から判断すると、これは体制の幹部らによる共同書簡であるはずです。この書簡には習近平の倒錯的な行為が列挙されており、読む価値があります」と解説しています。最終28項の終わりの部分をグーグル翻訳すると次のようです。
《彼は今日の中国の問題の根源となっており、このような振る舞いを続ければ、中国は確実に取り返しのつかない事態に陥るだろう。そして彼はできるだけ早く追放される必要がある。 国の大多数の人々は彼を心の底から嫌っており、政府と国民の誰もが彼の失脚を見て喜んでおり、軍と警察の誰もが彼と戦う用意ができている、我々はここで彼に要求することを決定した。直ちに指導者の地位を辞任し、世界に謝罪しなければならない。 また、独裁に陥りやすい既存の制度を放棄し、誰もが自由で開かれた新たな生活を送れるよう、新たな民主共和制社会を設立することも求められている》
中国14億人のうち9000万人が共産党員です。はっきり言って利権・賄賂まみれの共産党員に自浄能力があるのか疑問です。経済苦境の根底にある不動産バブルを本当に退治したいなら、莫大に作られたマンションの実態を把握するのが第一歩で、固定資産税を創設すれば誰がどれほど所有しているのか全貌が判明します。固定資産税創設に反対しているのが賄賂としてマンションを多数貰っている共産党幹部なのです。
中国の経済発展に日本も少なからぬ貢献をしました。製鉄業など製造業でお人好しも過ぎると言えるほど技術支援してノウハウも渡しました。新幹線も中国国内で使うならとの制限付きで技術を渡しました。ODA資金援助も最近まで続けていました。しかし、中国国内では中国独自で発展したことになっています。援助など口にしません。
習近平指導部の共産党は中国進出外資企業から技術を掠め取る動きを露骨にしました。自動車は合弁しか認めなかったのにEVのテスラを単独で中国進出させ、優遇と見せながら中国EV発展の起爆剤にしました。複合機ビジネスでは設計図を全て置いて行け、化粧品では詳細な成分一覧表を出せです。
戦狼外交にしてもここまで露骨に中国の本音を見せてしまった以上、「あの時は言い過ぎたからごめん」で元に戻せるとは思えません。世界で通用する政策形成の透明性が担保されないと相手にされなくなります。
自由選挙による政府への大転換を、各種利害が複雑に絡み合っているこの大人口国で短期間に実現するのは至難と考えます。
【中国関連の記事】
時評「習近平は独裁者の地位失い、共産党は集団指導に」(2024/12/17)
第686回「中国の虚構:売れ先無いマンション莫大に所有」(2024/05/20)
第683回「急速高齢化の脅威に、中国指導部は無策傍観」(2024/01/25)
第674回「中国大卒就職難は中国政府の大勘違いから」
第624回「14億人中国の暗雲:男女人口大差と年金使い込み」
第602回「中国の労働人口、今後は1億、2億と減る衝撃」
国家主席だった劉少奇家の質素ぶりが《劉少奇の息子、劉源:副省長から人民解放軍上将へ》(中国語)で語られています。アフガニスタン国王夫妻が訪中して国家主席夫妻として会った際に、王妃から「あなたの子供たちに会いたい、一緒に食事をしたい」と提案されて断れず、ふだんから継ぎ接ぎの服しか着ていなかったので恥ずかしくない服が見つからず大騒ぎになったそうです。
しかし、党内で毛沢東に劣らぬ力を蓄えた劉少奇は文化大革命で「走資派の頭目」として迫害され、最後は河南省の病院でベッドに縛り付けられて亡くなりました。1980年に名誉回復されて妻の王光美さんと子供たちがは劉少奇の遺骨を迎える様子を、《劉少奇の息子、劉源:副省長から人民解放軍上将へ》(5)(中国語)がこう描いています(グーグル翻訳による)。
《劉少奇が拘留されていた部屋には、今も当時のままの家具が置かれている。王光美さんと子供たちは、部屋の様子と劉少奇さんが最後に使った簡単な道具を見たとき、あまりの感動に、興奮を抑えきれずに泣き出しました。子供たちは劉少奇が使っていた枕を抱きしめてベッドに身を投げ出し、「お父さん、お父さん!」と叫び、王光美さんは心の中の悲しみと怒りを抑え、「子供たち、強くなれ!」と大声で慰めた》《劉源さんは、父親の骨壺を手にしたとき、重く感じた、その瞬間に自分の使命を感じ、父親との会話の中で魂が昇華されたのを感じた、と語った》
党中央に上申した社会民主党への転換は、劉源上将の持論として知られていると言います。
習近平に対する28の罪状断罪文書は中国語で発信を続けている蔡慎坤さんが「X」に載せています。「昨日メールを受け取りましたが、文体から判断すると、これは体制の幹部らによる共同書簡であるはずです。この書簡には習近平の倒錯的な行為が列挙されており、読む価値があります」と解説しています。最終28項の終わりの部分をグーグル翻訳すると次のようです。
《彼は今日の中国の問題の根源となっており、このような振る舞いを続ければ、中国は確実に取り返しのつかない事態に陥るだろう。そして彼はできるだけ早く追放される必要がある。 国の大多数の人々は彼を心の底から嫌っており、政府と国民の誰もが彼の失脚を見て喜んでおり、軍と警察の誰もが彼と戦う用意ができている、我々はここで彼に要求することを決定した。直ちに指導者の地位を辞任し、世界に謝罪しなければならない。 また、独裁に陥りやすい既存の制度を放棄し、誰もが自由で開かれた新たな生活を送れるよう、新たな民主共和制社会を設立することも求められている》
中国14億人のうち9000万人が共産党員です。はっきり言って利権・賄賂まみれの共産党員に自浄能力があるのか疑問です。経済苦境の根底にある不動産バブルを本当に退治したいなら、莫大に作られたマンションの実態を把握するのが第一歩で、固定資産税を創設すれば誰がどれほど所有しているのか全貌が判明します。固定資産税創設に反対しているのが賄賂としてマンションを多数貰っている共産党幹部なのです。
中国の経済発展に日本も少なからぬ貢献をしました。製鉄業など製造業でお人好しも過ぎると言えるほど技術支援してノウハウも渡しました。新幹線も中国国内で使うならとの制限付きで技術を渡しました。ODA資金援助も最近まで続けていました。しかし、中国国内では中国独自で発展したことになっています。援助など口にしません。
習近平指導部の共産党は中国進出外資企業から技術を掠め取る動きを露骨にしました。自動車は合弁しか認めなかったのにEVのテスラを単独で中国進出させ、優遇と見せながら中国EV発展の起爆剤にしました。複合機ビジネスでは設計図を全て置いて行け、化粧品では詳細な成分一覧表を出せです。
戦狼外交にしてもここまで露骨に中国の本音を見せてしまった以上、「あの時は言い過ぎたからごめん」で元に戻せるとは思えません。世界で通用する政策形成の透明性が担保されないと相手にされなくなります。
自由選挙による政府への大転換を、各種利害が複雑に絡み合っているこの大人口国で短期間に実現するのは至難と考えます。
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