時評「米中関税合意裏に中国共産党が重大譲歩の情報」
【完全に習近平外し】異例の高関税で対立の米中がともに115%引き下げで合意した裏で、中国共産党が政治的なタブーに触れる極めて重大な譲歩をしたとの情報が流れました。中国ウオッチャーのユーチューブによるもので、他に裏付けは取れていませんが、(1)香港の「リンゴ日報」創業者黎智英氏の釈放、(2)台湾に軍事力を行使しない、(3)合成麻薬フェンタニル取り締まり全面協力――を米国が要求し、中国側はほぼ応諾したようです。フェンタニルについてだけは米国側に成果を評価する報道がありました。米中の今後を縛る重大な決定だったのに、習近平主席はロシア外遊から帰国したところで監禁されて完全「蚊帳の外」状態に置かれたと言います。
この情報を流したのは19日公開のユーチューブ《BREAKING NEWS! モスクワ帰りの習近平緊急情報》澁谷司の 中国カフェで「米中関税交渉の舞台裏」と題されています。
昨年12月の時評「習近平は独裁者の地位失い、共産党は集団指導に」で指摘したように、習近平は軍の統帥権を失い、共産党内部でもお飾りトップ化しました。現在は1942年生まれの党元老「胡錦濤、温家宝、胡徳平」の3人が仕切っていると考えられます。胡錦濤は前の主席、温家宝は前政権の首相、胡徳平は死が天安門事件の引き金になった胡耀邦の長男です。
米中関税交渉は中立国のスイスで開かれ、米国の要求が明らかになった時点で何立峰副首相が率いる交渉団は一時、宿舎に戻って北京の指示を仰ぎました。10日午後、温家宝ら元老が李強首相から交渉内容を聞き取り、最高機関である常務委員会が緊急決定を下しました。
決定は(1)香港の黎智英氏の釈放は拒否しない、(2)台湾問題について中国共産党は率先して摩擦を起こさない、(3)フェンタニルの取り締まりに協力する意思がある――としつつ、いずれの項目も中国の面子を保てるよう条件を付けています。
香港国家安全維持法などに違反したとして起訴されている「リンゴ日報」黎智英(ジミー・ライ)氏について昨年11月のNHK報道《香港「リンゴ日報」創業者“自由を享受できるよう願っていた”》はこう伝えています。
《去年12月に始まった裁判で、黎氏側は全面的に争う姿勢を示していて20日、黎氏本人が初めて証言しました。黎氏は創業した理由について、1989年に中国・北京で起きた天安門事件がきっかけだとしたうえで「法の支配や民主主義の追求、言論や集会の自由といった価値観を支持し、香港の人たちがより多くの情報を得ることでそうした自由を享受できるよう願っていた」と述べました》
モスクワで9日に開いた対ドイツ戦勝80周年記念行事に出席していた習近平主席は帰国時に、張又侠・中央軍事委員会副主席によって西山病院に監禁されたようです。
最近、有名大学の女性教授らが習近平独裁体制を批判し、反対闘争に立ち上がるよう呼びかけたと言います。朝鮮日報5日付《「習近平独裁に立ち向かおう」 中国の女性教授2人が実名で体制批判》が伝えています。以下は本人たちの顔写真や署名、身分証番号などです。
《3枚からなる声明文によると、実名批判を展開したのは中国・広州の華南理工大学に所属する林影教授(63)と韓双艶教授(49)。両教授は「小さな火種が原野を焼き尽くすことができる(星星之火,可以燎原)」と題する宣言文で▲一党独裁の終息と民主選挙の導入▲言論及び表現の自由の回復▲民生の改善と社会の公正の実現▲法治社会の構築と人権保障−などを要求した。林影教授は自身が中国共産党の党員だとした上で「我々は中国社会の沈滞と抑圧を自ら目撃した」と主張した》
《「今日、この暗い時期に私たち皆が共に立ち上がり、習近平独裁に立ち向かって戦おう。民主主義と自由を叫び、全ての市民の人権と社会正義のために戦おう」と促した。声明文は「全国民が共に立ち上がれば、この強力な権力を揺さぶり、社会全体に変化の火を着けることができるだろう」としめくくられている》
「習近平外し」は公表できるものではなく「お飾りトップ」は維持されていますが、何かが変わってきたと社会が感じている可能性があります。
【5/21追補=胡徳平の顔写真】東亜日報2019/1/18付《ケ小平の息子に続き胡耀邦の息子も習主席を批判》に胡徳平の顔写真が出ていました。胡錦濤や温家宝に比べ知られていません。記事の最後にあるケ小平の長男のケ樸方も最近、「習近平が改革開放路線が築いた遺産を10年で食いつぶした」との趣旨の発言をしています。
関連記事---第693回「トランプ関税戦争は脅しだけ構造改変戦略無し」(2025/05/13)
---第691回「独裁米ロ中で世界仕切れる:トランプの大誤認」(2025/01/17)
【中国関連の記事】
時評「習近平は独裁者の地位失い、共産党は集団指導に」(2024/12/17)
第689回「中国を覆う大不況、経済成長どころか縮小必至」(2024/11/25)
第686回「中国の虚構:売れ先無いマンション莫大に所有」(2024/05/20)
第683回「急速高齢化の脅威に、中国指導部は無策傍観」(2024/01/25)
第674回「中国大卒就職難は中国政府の大勘違いから」
第624回「14億人中国の暗雲:男女人口大差と年金使い込み」
第602回「中国の労働人口、今後は1億、2億と減る衝撃」
この情報を流したのは19日公開のユーチューブ《BREAKING NEWS! モスクワ帰りの習近平緊急情報》澁谷司の 中国カフェで「米中関税交渉の舞台裏」と題されています。
昨年12月の時評「習近平は独裁者の地位失い、共産党は集団指導に」で指摘したように、習近平は軍の統帥権を失い、共産党内部でもお飾りトップ化しました。現在は1942年生まれの党元老「胡錦濤、温家宝、胡徳平」の3人が仕切っていると考えられます。胡錦濤は前の主席、温家宝は前政権の首相、胡徳平は死が天安門事件の引き金になった胡耀邦の長男です。
米中関税交渉は中立国のスイスで開かれ、米国の要求が明らかになった時点で何立峰副首相が率いる交渉団は一時、宿舎に戻って北京の指示を仰ぎました。10日午後、温家宝ら元老が李強首相から交渉内容を聞き取り、最高機関である常務委員会が緊急決定を下しました。
決定は(1)香港の黎智英氏の釈放は拒否しない、(2)台湾問題について中国共産党は率先して摩擦を起こさない、(3)フェンタニルの取り締まりに協力する意思がある――としつつ、いずれの項目も中国の面子を保てるよう条件を付けています。
香港国家安全維持法などに違反したとして起訴されている「リンゴ日報」黎智英(ジミー・ライ)氏について昨年11月のNHK報道《香港「リンゴ日報」創業者“自由を享受できるよう願っていた”》はこう伝えています。
《去年12月に始まった裁判で、黎氏側は全面的に争う姿勢を示していて20日、黎氏本人が初めて証言しました。黎氏は創業した理由について、1989年に中国・北京で起きた天安門事件がきっかけだとしたうえで「法の支配や民主主義の追求、言論や集会の自由といった価値観を支持し、香港の人たちがより多くの情報を得ることでそうした自由を享受できるよう願っていた」と述べました》
モスクワで9日に開いた対ドイツ戦勝80周年記念行事に出席していた習近平主席は帰国時に、張又侠・中央軍事委員会副主席によって西山病院に監禁されたようです。
最近、有名大学の女性教授らが習近平独裁体制を批判し、反対闘争に立ち上がるよう呼びかけたと言います。朝鮮日報5日付《「習近平独裁に立ち向かおう」 中国の女性教授2人が実名で体制批判》が伝えています。以下は本人たちの顔写真や署名、身分証番号などです。

《「今日、この暗い時期に私たち皆が共に立ち上がり、習近平独裁に立ち向かって戦おう。民主主義と自由を叫び、全ての市民の人権と社会正義のために戦おう」と促した。声明文は「全国民が共に立ち上がれば、この強力な権力を揺さぶり、社会全体に変化の火を着けることができるだろう」としめくくられている》
「習近平外し」は公表できるものではなく「お飾りトップ」は維持されていますが、何かが変わってきたと社会が感じている可能性があります。
【5/21追補=胡徳平の顔写真】東亜日報2019/1/18付《ケ小平の息子に続き胡耀邦の息子も習主席を批判》に胡徳平の顔写真が出ていました。胡錦濤や温家宝に比べ知られていません。記事の最後にあるケ小平の長男のケ樸方も最近、「習近平が改革開放路線が築いた遺産を10年で食いつぶした」との趣旨の発言をしています。
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